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バタン!!
と、勢い良く開いた扉からは仁王くんとブン太の姿が見えた。
「やぁ…。 思っていた以上に早かったんだね、二人共。」
ふわりとした笑顔を見せて精ちゃんは二人に対峙するように二人の前に歩んだ。
「幸村くん…嘘だろぃ……?」
表情を変えず黙視する仁王くんと逆にブン太は
信じられない、と呟く。
それに対しても精ちゃんは笑顔を保っている。
「嘘、ではないよ。 バラすつもりはなかったけど…皆勘が良いんだもの。」
せせら笑いながら喋る精ちゃんの胸ぐらをブン太が掴んだ。
「…幸村くッ…あんたッて人は!!」 「…。 名前、ブン太。 お前さんらは赤也を連れて治療室へ行け。」
仁王くんが言った言葉はしばらく理解出来なかったが、ブン太が精ちゃんの胸ぐらを掴んでるのを良いことに私の体の紐を仁王くんが解いてくれて
そこでハッと気付いた。
赤也くんは頭から血を流しているんだと…。
すぐに赤也くんに駆け寄って、ブン太も続いて来て赤也くんを担いで外に出た。
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