31
「電話をしたのも、手紙を書いたのも…俺じゃない!!
本当にッ…俺は瓶を入れただ、「ざけんなよ!!!」」
「ブ、ブン太!」 「止めろ、丸井!」
赤也くんが話終える前にブン太が赤也くんに怒鳴り付けながら胸ぐらを掴み殴りかかりそうになった。
精ちゃんがブン太の腕を掴んで諌めた。
「最後まで聞くんだ、ブン太。」 「けどッ…幸村くん! コイツは瓶も手紙も電話も、全部一つ一つに毎日恐怖を抱いてたんだぜぃ?!」
「…ブン太、聞くんだ。 赤也、理由は何なんだい?」
ブン太は精ちゃんと向かいあって怒鳴った。 精ちゃんは静かに低い声色でブン太を諭して、ブン太は押し黙った。
赤也くんはずっと申し訳なさそうな顔をして、固まっている。
「…名前先輩は覚えちゃいないだろうけど、俺と一回会ってるんスよ。
俺…一目惚れして、つい…。
すいません、名前先輩ッ。」
顔を歪ませて涙を溜めて謝罪された。 いきなりの展開で中々理解しきれない。
ただこれだけは言える。
「赤也くん…、私ね。 ここ半年本当に怖かった。 気持ち…悪かったし。
でも正直に話してくれたから、もう良いよ。」
赤也くんもブン太も精ちゃんも驚いていた。 三人の気持ちは分かる。
あんな気分の良くないものを半年やられた私が、簡単に許したのだから。
でも、直接危害はなかったし。 ずっとブン太が側にいてくれたから、そこまで怖くなかった…。
それに私と話してた時の赤也くんの笑顔と 今の赤也くんの情けない程の泣き顔は 嘘じゃないと思うから。
「むしろ、私のせいで怪我さしちゃってごめんね?」 「名前せんぱ、い… ありがとうございます!!!!」
腕で涙を拭う赤也くんを見ると、許した事は良かったのだと思えた。
「はあ…名前がそう言うなら良い。 赤也、もうすんなよぃ…。」 「…ッ、はい…!。」
呆れながら言うブン太は何だかんだで後輩の赤也くんが可愛くて仕方ないのだろう。
精ちゃんは黙って赤也の頭を撫でて「…良く話したね」と言った。
|