01
「…あ、」
また、か。 白いドロドロとした液体が入ったビン。 それは登校して必ず見る私の靴箱に、ここ最近ずっとあるものだ。 立海大の靴箱は鍵はないものの扉が付いてあるから中を見られる心配がないのが救い。
そして毎朝のこれにも困るが、帰りのアレにも困る。
「…やっぱり。またあるんだ…」
今度は下校時に真っ黒な紙が入ってる封筒が置いてある。
封筒には赤い字で ゙愛しの名前べ
と書かれ 紙にはまたまた赤い字で
゙君を想えば僕は欲を我慢できなくなる 君を想えば僕は何も見えなくなる 君を想えば僕は君の愛が欲しくなる゙
とかなんとかいう文が書かれてある。 これがこの半年毎日続いているわけで、いい加減に気が狂いそうになる。
「名前!またあったのかよぃ?」
赤い髪を揺らしガムを膨らませながら歩みよってきたのは幼じみであり同じクラスの ゙丸井 ブン太゙ 私が今回の件を話してる唯一の人物。
「そうみたい。誰がやってるにしても悪質だよねー。」私は靴箱から封筒を取り出しながら苦笑いでブン太を見る。
「ぜってーストーカーだぜ、それ。」 ブン太は顔を歪ませて私から封筒を取り、そのまま封筒を自分の鞄にしまった。
ブン太に話してからは朝のビンも夕方の封筒も全てブン太が処分してくれている。
学校だと破っても捨てた後に誰かが見るかも知れないので念のために持って帰ってくれてるみたいで非常に助かっている。
「よし、帰ろうぜ!名前。」 「ちょっ、ブン太! 部活あるんでしょう?」
ブン太は立海大テニス部のレギュラー。 うちのテニス部は全国優勝も経験がある強豪。
部活も半端なく厳しく休みなど滅多にないのを知ってる。
「けどよぉ…お前、俺が部活してる間一人になっちゃうだろぃ? 部活の側に寄って来ねぇしさ。」
当たり前である。 立海大のテニスファンはそれこそ氷帝には敵わないけれど かなりの熱狂ぶりでファン同士のぶつかり合いが激しい。 この前もレギュラーの一人と親しくしたが為に入院した子いるって噂があったし…
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