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{名前?泣いてんのか…?
今、家にいるのか?}
「…ウッ…う、んッ。」
{待ってろ。}
<ブツッ…プープープープー…>
電話が切れて、 すぐにブン太が部屋に入って来た。
「大丈夫かよぃ?!」
慌てて来たのか今朝会ったままの制服姿だった。
「ぶ、ブン太ぁ!」 「ぅわっ…ッ。」
色んな感情が入り乱れて、ブン太の姿を確認したら思いっきり抱きついてわんわん泣いた。
こんなに泣いたのは随分昔ぶりだと思う。 ブン太は何も言わずに座り、胸を貸してくれて 私の頭をずっと撫でてくれた。
「んッ…」
気付いたら夕方だった。 どうも私はあのまま寝入ったらしい。
動きづらいな、と思ったら真横にブン太の顔があった。
―――ドキリとした。
「起きたのか?おはよ。」 顔を覗かせて微笑むブン太。
ずっと起きたまま、この体勢いたのだと思うと申し訳なかった。
「…おはよ。 ずっとこの体勢で起きてたの?ありがとう。」
「気にすんなよぃ。 落ちついたか?」
コクッと首を縦に振る。
ブン太は優しい。 優しい幼なじみのブン太に私はつい甘えてしまう。
「良かった…。 何があったんだ?」
ここまで迷惑かけちゃったら言わない方が失礼だよね…。
「あのね、ブン太…。」
私は全てを話した。 一から全部。
今までブン太に話した事も含めて、話してなかった電話のことも。
ブン太は険しい表情をしながら、黙って聞いてくれた。
時間は20時になっていて、ご飯の時間になって親が呼びに来るまで気づかなかった。
幸い家族ぐるみの付き合いだったから 母がブン太に泊まっていく事を勧めてくれた。
「おばさん、邪魔してわりぃな。」 「あら良いのよ?ブンちゃんだし♪ いつものように、名前の部屋に寝なさいね。」
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