長編 | ナノ

21


{名前?泣いてんのか…?

今、家にいるのか?}

「…ウッ…う、んッ。」

{待ってろ。}



<ブツッ…プープープープー…>














電話が切れて、
すぐにブン太が部屋に入って来た。

「大丈夫かよぃ?!」

慌てて来たのか今朝会ったままの制服姿だった。

「ぶ、ブン太ぁ!」
「ぅわっ…ッ。」

色んな感情が入り乱れて、ブン太の姿を確認したら思いっきり抱きついてわんわん泣いた。






こんなに泣いたのは随分昔ぶりだと思う。
ブン太は何も言わずに座り、胸を貸してくれて
私の頭をずっと撫でてくれた。


















「んッ…」

気付いたら夕方だった。
どうも私はあのまま寝入ったらしい。

動きづらいな、と思ったら真横にブン太の顔があった。















―――ドキリとした。




「起きたのか?おはよ。」
顔を覗かせて微笑むブン太。

ずっと起きたまま、この体勢いたのだと思うと申し訳なかった。




「…おはよ。
ずっとこの体勢で起きてたの?ありがとう。」

「気にすんなよぃ。
落ちついたか?」


コクッと首を縦に振る。



ブン太は優しい。
優しい幼なじみのブン太に私はつい甘えてしまう。







「良かった…。
何があったんだ?」

ここまで迷惑かけちゃったら言わない方が失礼だよね…。

「あのね、ブン太…。」








私は全てを話した。
一から全部。


今までブン太に話した事も含めて、話してなかった電話のことも。

ブン太は険しい表情をしながら、黙って聞いてくれた。






時間は20時になっていて、ご飯の時間になって親が呼びに来るまで気づかなかった。

幸い家族ぐるみの付き合いだったから
母がブン太に泊まっていく事を勧めてくれた。


「おばさん、邪魔してわりぃな。」
「あら良いのよ?ブンちゃんだし♪
いつものように、名前の部屋に寝なさいね。」


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