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「も、もしもし…?」
{やぁ、名前。}
また、あの無機質な声が聞こえた。
{ちゃんと俺が成敗してあげたよ?赤也。}
「な、んで…赤也は何も、 あ、あ、かやを襲ったのは貴方なの…?」
{何をいまさら… 赤也はね、君にいつも贈り物してたんだよ? 君が嫌がる贈り物。だから成敗したんだよ? まぁ俺が手を出した訳ではないけれど。}
嫌がる贈り物?
ふと、登下校に下駄箱に置かれてある瓶と手紙が頭を過った。 でも瓶や手紙が入っていたのは赤也くんと出会う前だし、赤也くんがそんなことをするわけない。
「何を言ってるの? 私は赤也から何かを貰った事はないわ!!」 {直接、はね。 毎朝入ってあるだろう?
精液入りの瓶が。}
嘘だと思っている。 だけど頭が真っ白になった。
あの瓶は赤也なの? なんでこの人が知ってるの?
「嘘を言わないで! あ、貴方があの瓶や手紙を入れたストーカーなんでしょう?!」
<ガチャッ...プーップーッ...>
切られてしまった…。
しばらく呆然としていた。
頭の中には赤也くんがあの瓶の犯人なのか? って事がぐるぐると渦巻いて私は混乱していた。
あの瓶が置かれたのは赤也くんと出会う何ヵ月も前から。 むしろ電話の人物の方が何倍も怪しい…。
じゃあ、何故犯人は赤也くんを襲ったのか?
「っ…分からない…。 分からないよっ!!!」
思わず瞳から涙がこぼれる。
こんな時、どうすれば良いのか分からない。
ブン太にこれ以上、迷惑を掛けたくない。 でも、私が黙っていた事がバレたらブン太は自分を責める…。
<ピッピッピッ…プルルルルル…プルルルルル…ガチャ>
震える手で電話帳から゙ブン太゙を出して通話ボタンを押した。
すぐにブン太は出てくれた。
{どうした?}
ブン太の声は凄く優しいものだった。
だから、つい泣いてしまった。
「…ぶっ……たあッ…ウッウッ…」
゙幼なじみ゙と言うものが どれだけ安心出来るのか、改めて分かった。
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