長編 | ナノ

20



「も、もしもし…?」



{やぁ、名前。}












また、あの無機質な声が聞こえた。




{ちゃんと俺が成敗してあげたよ?赤也。}


「な、んで…赤也は何も、
あ、あ、かやを襲ったのは貴方なの…?」


{何をいまさら…
赤也はね、君にいつも贈り物してたんだよ?
君が嫌がる贈り物。だから成敗したんだよ?
まぁ俺が手を出した訳ではないけれど。}














嫌がる贈り物?

ふと、登下校に下駄箱に置かれてある瓶と手紙が頭を過った。
でも瓶や手紙が入っていたのは赤也くんと出会う前だし、赤也くんがそんなことをするわけない。



「何を言ってるの?
私は赤也から何かを貰った事はないわ!!」
{直接、はね。
毎朝入ってあるだろう?












精液入りの瓶が。}









嘘だと思っている。
だけど頭が真っ白になった。


あの瓶は赤也なの?
なんでこの人が知ってるの?









「嘘を言わないで!
あ、貴方があの瓶や手紙を入れたストーカーなんでしょう?!」










<ガチャッ...プーップーッ...>



切られてしまった…。

















しばらく呆然としていた。


頭の中には赤也くんがあの瓶の犯人なのか?
って事がぐるぐると渦巻いて私は混乱していた。

あの瓶が置かれたのは赤也くんと出会う何ヵ月も前から。
むしろ電話の人物の方が何倍も怪しい…。

じゃあ、何故犯人は赤也くんを襲ったのか?













「っ…分からない…。
分からないよっ!!!」

思わず瞳から涙がこぼれる。

こんな時、どうすれば良いのか分からない。

ブン太にこれ以上、迷惑を掛けたくない。
でも、私が黙っていた事がバレたらブン太は自分を責める…。










<ピッピッピッ…プルルルルル…プルルルルル…ガチャ>

震える手で電話帳から゙ブン太゙を出して通話ボタンを押した。


すぐにブン太は出てくれた。

{どうした?}

ブン太の声は凄く優しいものだった。








だから、つい泣いてしまった。

「…ぶっ……たあッ…ウッウッ…」

゙幼なじみ゙と言うものが
どれだけ安心出来るのか、改めて分かった。


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