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…side幸村…
あぁやっぱり、真田と柳は動揺してないな。 真田には話していたけれど柳は勘づいていたのかな。
しかし、丸井は知っていたが赤也に仁王まで名前に惚れているのか。 俺を見る目がそれぞれ嫉妬を映していたのを見逃さなかった。
俺と名前の繋がりは昨年。 狂気じみた想いを押し付けるファン…いや、もはやビッチか。に嫌悪を抱き女嫌いになりながらも、冷たくあしらえない俺。
それが無性にむしゃくしゃして、資料室で慣れないタバコを吸いながら 溜まったストレスを口に出していた時だった。
いつもは早く部活に行くがたまたまその日は気分がノらずそのまま部屋にいた。
────ガラッ
「っあ、幸村くん?」 「名字さん?」 当時同じクラスだった名字 名前。 その時は丸井はまだ準レギュラーで興味がなかった俺は彼女が何者かなんて知らなかった。
ただの友達がいない寂しいクラスメート。それが俺が抱く名前への初めのイメージ。
「幸村くん、部活は行かなくて良いの?」 「え?」 「テニス部の、部長でしょう?」 何故彼女が資料室に来たかは知らない…けれど、
当時の俺はノイローゼに近かった。 彼女が俺がテニス部レギュラーって知っている。
その事実だけで彼女も気持ち悪いファンだと思ってしまった。
「大丈夫。名字さんは何故此処に?」 「あ、えっ…と。 …テニスのグラウンドが見える、から。かな?」
テニス部のグラウンド? 俺の中で彼女が確実にファンなんだ。そう決め付けた。
「へぇ…、テニス好きなの?」 「えっ!?ち、違うよー!!」
顔を赤くさせて否定する名前を俺は冷めた目付きで見ていた。
気 持 ち 悪 い
言葉に詰まる君を見て嫌悪感に包まれる。
少し考えれば分かる事だった。 彼女はテニス関連で動揺しても僕と話す事自体は至って普通なことも
おかしいファンはこんなとこから見ずコートに来るはずのことも…
「じゃあ、なんでテニス部を?」 「大切な人が、いるの。 テニス部に…
一緒に帰るから待ってるの。」
照れながら話していても 下手な嘘をつくんだな、としか思えなかった。
「そうなんだ。 じゃあ、とりあえず僕は部活に出るよ。」 「あ、うん。頑張ってね! …あ!私が此処にいるの誰にも言わないで欲しいの…お願い…」
なんで僕が君の事を誰かに話さなければならないんだ? 言われなくても言わないよ。 言葉には決して出さずに笑みを作る。
「うん。分かった。それじゃあね。」
それから数ヶ月、名前の存在すら忘れていた。
そんなある日の放課後… 資料室に呼び出しされた。
相手は今年度卒業予定の三年生。 チアリーダー部と女子テニス部の部長の二人。
「あ、幸村くん!呼び出してごめんなさいね? 部活は大丈夫かしら?」
「はい、でも手短にお願いします。」
お前のほうこそ部長のくせに部活は良いのかとか思ってイライラしていた。
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