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「…ぃ!…きろ……だぜぃ…… 名前!起きろ!!」
気がついたら太陽が目に染みるくらいの朝だった。 どうやら気絶するように寝ていたらしい。
何故か目の前には、ブン太だ。
「大変なんだよぃ! あ、赤也…赤也が…!!」 「赤也くんがどーしたの?」
思考が働かない脳で理解出来だ赤也゙の単語。 次のブン太の言葉に私は一気に目が覚めた。
「赤也が入院したっ…ッ。
昨日の、夜中に誰かに襲われて腕が…っ 右腕が…折れた、らしくって、
くそっ!」 「入、院…?」
「ああ、…詳しい話は後だ! とりあえず病院行くぞ」
病院までの道のりにブン太から聞いた話はこうだった。
夜中1時過ぎ、私にメールを送ってからコンビニに出掛けた赤也くん。 しかし帰り道にいきなり後ろからパイプで頭を殴られたのちに、倒れた赤也くんの右腕に思い切り足を乗せ、体重かけ立ち去った。
右腕が折れた以外は特に異常はなく、頭もなんともなかったらしい。 しかし、念のために精密検査をするから入院するみたい。 問題は赤也くんを襲った犯人。 赤也くんの話では犯人は立海大の制服を着た二人組。 バッジは三年のものだったらしい。
よく見ていた、と刑事さんが感心していたとブン太は言った。
「とりあえず、赤也…後遺症は残らねぇから大丈夫みたいだぜぃ。」 「…良かった。 でも右腕が治るまでテニス、無理なんだね。」
テニスを純粋に楽しむ赤也くんの姿はブン太を見ていたつもりの私でもたまに目で追ってしまう時がある。
勉強嫌いな赤也くんはテニスの事ならいつも隣のクラスに顔を出している声を聞いていた。 そんな赤也くんからたとえ数日でもテニスを奪うなんて…
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