長編 | ナノ

所詮少女A









正直、調子に乗っていた事は否めない。

でも、こんな状況になるなんて予想外。










「確か、名字さんよねえ?」
「あ、えっと、はい。」

目の前には他のクラスでギャル系女子の二人組が腕を組んでいる。

他のクラスとは言え、見覚えはある。
テニスには全く興味ないけどジローとやたら親しいと言うグループのリーダー的人物だ。


ただ廊下を歩いていたところを呼び止められて、今空き教室へ連れて来られている。






















何となく今の状況を把握して、この後言われるであろう言葉も予想出来た。

そして予想は当たった。










「マジ不釣り合い。」
「珍しいタイプの子だからみたいね〜」
「なあんだ、呼び止めて損した!」
「あ、もう良いわよ。
でもまあ…ジローが優しいからって勘違いして近寄らないようにね?」
「そうそう、泣くのはアナタなんだから。」
「ジローも人が悪いわよ。」

そう言い終えた彼女たちは満足そうに立ち去っていった。





彼女たちの言い方は、まだやんわりとしていたし、内容も間違ってないと思う。

















ただ…、私はあの日からジローを見る事が出来なくなった。


最初こそ雪菜が不信に、心配に思って聞いてきたけど、濁す私に、早々聞かなくなった。











ジローを見ると、泣きたくなるとか胸がチクチクするような感覚になるなんて、自分でも分かるくらいおかしい。

でもね、ジロー。
好きなの。









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