接近
「あの、ね。」 「うん?」 「雪菜…あ、私の友達なんだけど」 「知ってる知ってる。 いつも一緒にいる子だよねー」
初めてであろうジローに自分から話しかけると言う行為に自分で自分に賛美しつつ話を続ける。
「うん。 その子とね、実は日曜にジローと宍戸君に差し入れしたんだけど その子が月曜に宍戸君からお礼言われたみたいで…。 えっと、その、つまり、私達が差し入れしたって何で分かったの?」
言った!言えた! かなり文としてはむちゃくちゃだけど、言い切った事に安堵して、ジローの返事を待った。
「何でって…、差し入れ置いてるところ見てたし。」 「へ?」 「打ち合ってても人影があれば分かるよ。 同じ学校の同じ学年だし、良く試合見に来てる2人だったCー。」 「そ、そうなん…だ。」
凄く呆気ない答えで拍子抜けした。 バッチリ見られていたのは予想外だったし、試合を毎回見てる事を知ってるのも予想外だった。
果てしなく恥ずかしい。
「も、も、もう一個! ジローは、何で私に…声をかけて来たの?」 「んー? …名前ちゃんに興味持っちゃったから、かなあ?」 「あ、はい。」
ざっくりとした質問にざっくりとした答え。 思わず納得してしまった。
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