接触
「ジロー、降りろ。」 「あ、うん。」 「お前も慌てるな。」 「ウ、ウス。」
一番冷静なのは恐らく跡部君で、ジローにベッドから降りさせてから樺地君も落ち着かせていた。
そして、最後に私に向かって「悪ぃな」と呟いた。 それを聞いた瞬間に両手をバタバタさせ、全力で「大丈夫です!」と言った。
「確か…「名字、名前です。」」
跡部君が思い出すように間を空けたので先に名前を名乗った。
跡部君はベッドから離れ、入り口近くにある利用者ノートをパラパラと捲り出した。
「名字は体調不良での利用か?」 「はい、担任の先生と保健の先生にも許可を貰ってます。」 「…間違いねぇようだな。」
とあるページ…恐らくは私の事を記入したページを見ながら頷きながら呟いた。
たまに保健室をサボり場とする生徒がいる為に確認したんだと今更ながらに理解する。
「邪魔したな。」
跡部君は最後にそう私に言ってから、ジローと樺地を連れて保健室から出て行った。
「やだ、顔真っ赤じゃない!」 「!」
ジローたちが出て行ってから かなり惚けていたようで、気付いたら雪菜の声がしていて目の前に雪菜の顔があった。
あたふたしながらも先ほどの出来事を報告すると、当たり前だけど雪菜はびっくりしていた。
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