憧れの彼と図書室
とある日の放課後。
課題に必要な資料を求めて滅多に利用しない図書室へと足を運んだ。
そこでバッタリ出会ったのが柳生くん。
柳生くんは部活がない日は放課後にも良く図書室にいるので、恐らく今日は部活が休みなんだと思う。多分。
声をかけようかかけまいか悩んでいると、柳生くんと目が合った。
「おや?名字さんじゃないですか。」 「う、あ。 ややややや柳生く、ん! えっと…こん、に、ちわ。」
軽く眼鏡の縁を上げながら近づいて来る。 そんな当たり前とも言える行動にも私はガチガチに固まってしまえる程に緊張してしまう。
そんな挙動不審な私を気にもしないで、私の腕にある資料を一見する。
「えぇ、こんにちわ。 奇遇ですね。 …課題、ですか?」 「う…うん。 ちょ、ちょっと分、からない箇所が…多く、て。」
しばし、何か考える素振りをした彼はとんでもない事を発案してきた。
「ご迷惑でなければお手伝い致します。」
と。 嬉しい反面、緊張で失神してしまいそうになる発案を。
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