08
「ねぇ…良いでしょう?一緒に行きましょーよー!!!
…それとも俺が嫌いなんスか?」
!!!!! な、なんてこと言い出すんだ。 今まで私も赤也くんも二人にしか聞こえない声で話していた。
しかし最後の゙嫌い゙の部分だけ 子犬のように肩を落として目を潤ませて声を張り上げた。
そのせいで、朝の数少ない周囲の人の私を見る目が怒りからや憎しみの視線が渦巻いた。
ましてやヒソヒソと 『ねえ、見てよ』 『切原くんを嫌ってるの?』 『あれって名字じゃね?』 『切原と一緒じゃん。意外にも繋がりあったんだ。』 『何よアイツ!』 『あり得ないし…』 といった話が聞こえるのだからたまったものではない。
嫉妬と好奇心から 嫉妬と冷ややかな視線へと移った今の雰囲気は最悪。 きっと切原くんは何を言ってもひかないし、今私が頑張って切原くんをあしらっても周りからの非難が来る…。
周りはまさか赤也くんが一緒に登校しましょうと誘いをしてるとは思っていないらしく、当たり前だけど普通に会話してるようにしか見えていないようだ。
「嫌いなわけないよ!ホントに。
…一緒に来よう?明日からでも!!」 「ッ!ホントですか?!」
「そのかわり、私が赤也くんと一緒に登校してるのは皆に秘密ね?」
周りには聞こえない声で話す。
絶対に知られてはいけない事柄。 赤也くんのファンも怖いし登下校のストーカーらしき人物も怖い。
「うっしゃー!!!!!!! わっかりました!!やっり〜♪ じゃあ、俺が先輩の家に迎えに行きますからね?」
ニコニコして私の耳元に口を近づけボソッと囁かれた。 …ちょっと心臓がドキドキしているの分かる。
周りも絶叫、というのだろうか? 悲痛な叫びが聞こえた。
…訂正。 色んな意味でキリキリ痛む。
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