長編 | ナノ

パートナーの彼と彼女


以前より面識だけはあった彼女、3Aの名字名前さん。

そんな彼女とまともに話したキッカケは部活のパートナーである仁王くんでした。











女性に全くと言って良いほど興味のない、あの仁王くんに毎日お弁当を届けて受け取って貰う彼女。

それがいかに仁王くんにとって大切な存在であるかはテニス部の部員ならば誰もが知り得た事です。










しかし彼女はお弁当を渡したかと思えばすぐに教室に戻ると言う日々を繰り返していました。

















そんな彼女と私たちの関係が微妙に変わったのは私たちはもちろん、仁王くんともまともに話した事がないまま一ヶ月が過ぎようとしていたある日、仁王くんが風邪により学校を休んでいるにも関わらず彼女がお弁当を届けに来た事がキッカケかも知れません。












「あれ、仁王くんは?」
「おや、名字さんではないですか。
仁王くんなら今日はお休みだそうですよ。」

「あ、そそそそうなんだ!」


きょとん、とした表情で一生懸命にないはずの仁王くんの姿を捜していた為、休みだと伝えれば視線をこちらに移し納得したように頷く。











「…連絡は受けてないのですか?」

彼女、まではいかなくとも仁王くんの大切な存在である彼女は当然知ってると思っていた私は
思わず帰りかけていたであろう彼女に踏み込んで尋ねてしまいました。










しかし彼女は気分を害した様子もなく立ち止まり驚愕な事実を教えてくれました。

「ええっと、はい!わた、私も
に、仁王くんもお互いに連絡先を知らないので。」

と。

まさか連絡先すら知らなかったとは…。








「にお「なあなあ!あんた名前なんてーの?!」」


予想外な返しに度惑いつつも仁王くんとの関係について聞こうと口を開いたのを遮って、切原くんが彼女の腕を引っ張りました。

…まあ仁王くん本人に聞けば済む話ですね。






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