お題 | ナノ
梅先輩と俺が出会ったのは偶然に見せかけた必然だった。
丸井先輩と仁王先輩から梅先輩を落とすゲームを持ちかけられ、それにのったが為の演出。
もの凄く呆気ないくらいに騙されるのに梅先輩の気持ちは一向に俺に向く事はない。
梅先輩が来るであろう道の端で役者顔負けの演技でうずくまって梅先輩が助けると言う三流のシナリオには
面白いくらいに見知らぬ俺を心配したものの、あっさり立ち去られるし。
たまたま学校で助けてくれた人をみかくてお礼がしたいと言うシナリオには
見返りを求めた訳ではないので逆に申し訳ないと断固拒否されるし。
事ある毎に上手くいかない。
終いには照れ隠しかと梅先輩の目の前で色んな女の子とイチャついてみても期待していたヤキモチどころか目すら合わせてくれない。
それどころか今現在、俺は非常に不愉快な光景を見せられている。
どんなに頑張っても笑ってもくれない先輩が俺の知らない男には蔓延の笑みを浮かべている光景。
…おかしい。
おかしいおかしい。
おかしいおかしいおかしい。
こんなはずじゃない。
こんなはずじゃなかった。
もう俺にゾッコンになっても不思議じゃないはずのに、何で先輩は瞳にすら移してくれねぇの。
なあ、本当は気付いてんだろ?
とっくに俺の方がアンタに落ちている事。
あなたが全て台無しにする
(用意した言葉も計算も)
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