お題 | ナノ






私達は根本的に合わなかったんだと思う。

考え方だとか好きなもの嫌いなものだとか、好きの概念だとか。













最初はクラスメート、次いで友人、そして恋人へとなった桃。












付き合ったキッカケは良くある成り行き。
友達として盛り上がってノリで付き合って…、ノリだったけど確かに好きと言う気持ちはお互いにあって。

でも結局それは友愛であって恋愛とは違ったんだ、と気付いたのは最近で
だけど違和感は付き合ってしばらくしてから感じてて、それは桃もきっと同じだった。


















だから桃と良く話し合った。

結果、祝福してくれたクラスメートやクラブメート…そんな人たちの手前、在学中に別れる事なんて出来なくて卒業後しばらくしてから会う事になった。

























「ごめん、待った?」
「俺も、今来たとこだぜ。」


二人きりが久しいせいか、これからの別れのせいか沈黙が流れる。

桃とはノリだけは良く合ったから、沈黙というのは凄く気まずい。







「あの、あのね。」

桃はこういうの特に苦手なのは良く知ってるから、私から口を開いた。












「ずっとずっと好きだったよ、私。
今まで…っありがとう!」

自然と溢れる涙をこらえて笑顔を作る。
桃はそれを悟ったかのように私を桃の胸元に押し込める。






「俺も。
…もっと…俺が、大人だったら…
いや、今更言っても仕方ねーよな。仕方ねーよ。」











どちらから、と言う事もなく自然とお互いに唇を合わせる。

時間の感覚なんてなくて、時間が止まったような錯覚さえあった。













適度なところでそっと離れる。

「さよなら、」







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