お題 | ナノ






秋のお彼岸が過ぎて少し肌寒くなってきた頃、友人に前から思っていた事を聞いてみた。


「謙也ってさー、良う蔵に劣等感持たへんなー。」
「な、なんやいきなり…。」

案の定いきなりの質問にヘタレ属性なる謙也は目を白黒させていた。
まあこの場面に置いてヘタレ度は一切関係ないけど。





「前から思ってたんよ。
うちなんか蔵に一時期嫉妬し過ぎて憎悪の感情ぶつけたっちゅーねん。」
「こわっ、そんな事あったんか!」

謙也が話しやすいようにと軽いカミングアウトをしてみたのに、普通に引かれた。
















「それはもうえぇねん。
今は謙也の話やし。」

「言うてもなあ…
そんなん長所の差やろ。」
「…真面目か。」

話題を戻してみるも謙也はピンと来ないみたいで、うーんと悩んでいる。

人それぞれなんは分かってるっちゅーの。







しばらくしておもむろに閃いたように手をぽんと叩いた。

「あ。」
「え?」
「一つだけあるわ。
羨ましいって妬むもん。」

にやっと意地の悪い顔をして、私に近づけて来たと認識するより早く唇と唇をくっつけてきた。













「な、なななななな」
「まあでも結局は俺のが好かれてるしな!」

口をパクパクさせて驚いてる間にも謙也はにこにこと抱きしめて来る。





















「アホ!変態!ヘタレの癖になんやねん!」
「しゃーないやろ、好きやねんから。」