お題 | ナノ






私が好きな人は、それはそれは女の人が大好きで、遊び人です。


それでも私が好きなのを止めないように、ファンの子たちや遊ばれる子たちも好きなのを止めないんだと思う。
それだけ忍足侑士と言う人は魅力的な人物なのです。










1日のうちに見掛けるその都度、侑士は様々な女の子と共にいる。

そのいずれも綺麗であり美人と言われる顔をして、スタイルも整った容姿している。



幸いな事に私もその容姿をしているらしく、たまにその中の一人として侑士の傍にいる。

時にプライベートの相手もしている事から、彼のお気に入りなんだと自負している。











「なあ、自分…」
「…梅。」
「すまんすまん。
梅、次の日曜いつもんとこで。」
「りょーかい。」

プライベート…つまりはセフレな訳だけど、もちろん主導権は侑士。
私はもちろん他の子も自分から誘うのは御法度で、連絡するのすら禁じられている。

だから私たちは侑士の気が向くその時を、ただただ待つしかない。



























いつもの指定された公園で待ち合わせていつものホテルで情事を済ませる。
事を終えた侑士はいつになく淡泊でさっさと私と別れる。

淡泊さは行動はもちろん名前の呼び方にもある。


侑士は私たちの名前を決して覚えてくれない。
呼ぶ時は自分、またはひぃさんで訂正させても次の瞬間には戻っているような男。



絵に描いたような軽薄で淡泊で冷たくて、でもそのため息をつきたくなる程の色気と目が離せない魅力に魅了されるのは他でもない私たち。











今日もそうなんだろうな、と情事の余韻に浸る間もなく出る準備をしつつ侑士を見やる。

おもむろに何か考える仕草をし、私に近寄ったかと思うと顎を掴まれた。












「侑士?」
「ん?」

彼の名を呼べば、珍しく優しい顔付きをしたかと思うと深い深い接吻をされた。


侑士が接吻なんて私だけでなく他の子にもした事を聞かない。

驚きや、嬉しさとか色んな感情が出て来て、固まったまま動けない。



















「たまには、な。」



そう甘く囁いてホテルから出て行く彼の心はいつだって自由だ。