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graduation/侑士


今日は氷帝学園中等部の卒業式。

付き合って2年になる彼氏・侑士はにこにこと後輩でありファンの女の子達にネクタイとボタンを渡し、ボールにサインしたり写真撮ったり大忙しだ。



「良いのかよ?」
「…何がー?」

侑士の様子を遠巻きに見ていた私に
侑士のパートナーであり私の幼なじみのがっくんが心配そうに話し掛けてきた。


「ボタンとかネクタイとか…」
「別にー。
あ、がっくん一緒に写真撮ろうよ!」
「お、おう!」


気を使われるのが嫌で話を切り替える。
一緒に写真撮ってがっくんの余りに余った制服のボタンも仕方がないので貰った。

侑士からは全く期待していなかったし、記念として欲しかったからがっくんの売れ残りに感謝。

「あー、浮気されてもうた…
ショックや、しかも岳人とやなんて…!」

いつの間にか後ろから抱きしめられて よよよ、とわざとらしく泣く侑士に冷めた視線を送った。
黙ったまま肘鉄をくらわして
がっくんの後ろに隠れる。

「どこが浮気なのよー!
幼なじみと戯れてただけだもん。
これが浮気って言うなら侑士はどうなわけ?」
「俺は浮気するわけないやん。
こぉんなにも彼女一筋なんやから!」
「…どうだかね。」

「俺は浮気するのはあり得んけど
つい今しがた岳人のボタン受け取ったやろ、幼なじみのボタン受け取るか?普通。」

冷めた視線を侑士に送れば
私の手にあるボタンとがっくんに人差し指をビシッと交互に指した。


「…記念だもん。
侑士が他の子にぜぇーんぶ渡すから、貰っただけだもん。
だいたい侑士だってただの後輩にあげたじゃんか。」

むすっとして舌を出せばいきなり侑士は笑い出した。

「あんなんファンの子に対するサービスやんか、ヤキモチやなんて可愛えーなー。」

くしゃくしゃとがっくんの後ろに隠れる私に近付き頭を撫でて来る。
なんか子供扱いされて不愉快。

「っるさあい!
侑士とは口聞かないから。
がっくん、帰ろ?」
「お、おう。」

「は?!
うせやん!すまんて、機嫌直してーや。」
「知らない」

がっくんに腕を絡めて侑士を置いて家へと歩む。
焦りながら着いてくる侑士が可愛くてクスクスと笑う。

「嘘。
一緒に帰ろっか!」

ぱあっと明るい表情に変わる愛しの彼氏。
中等部は卒業したけど
これからも仲良くしようね、侑士。











20100323



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