うちの部の後輩は非常に淡泊な性格をしていて、もはや冷静沈着と言う域ではない。
そう思い直したのはまさに、今。
財前君には片思いの女性がいるらしくでもその女性には恋愛対象として見て貰えないと言う良くある話。
普通はこういう時は落ち込んで諦めたり、振り向いて貰おうと頑張るものだと思う。
なのに、この財前君はそのどちらでもなく、気持ちそのままにその女性を見守ること1年!
だから私がもういっそアタックしなよ〜とアドバイスしたのに財前君…もはや財前!
財前は表情そのままに意味ないッスよと聞く耳なし。
「若いんだからもっと熱くなろうよ!」
「はあ。」
「元気なさ過ぎ泣いた!」
「先輩はいつも元気ッスよね」
「んふふ。」
「きもいっす。」
「酷い!」
こんなに私が力になろうとしてるのに財前は私を邪険にする。
淡泊だけでなく生意気と言う事を忘れてはいけなかった。
財前はふてくされた私がそっぽ向いてぶつぶつと呟き出したのを見てため息を付いた。
「先輩はアタックしろって言いますけど、先輩が俺に好きですとか言われたらどないなんですか?」
「どないとは?」
「トキメキたりとか、異性として意識出来ますか?」
「あ、無理だわ。」
「ほら、言わんこっちゃない。」
「あははー」
だって、ねえ…。
確かに財前はカッコイイ。文句無し。
辛辣な会話や冷たい態度は世間的にはクールで通用するわけで、いわゆる天才で、モテるのも頷ける。
でも、私からしたら異性としては意識出来ない。
財前に限らずどの男性もだけど、今はまだそういう感情が良く分からないし。
「…先輩が俺を異性に見れるようなったら攻めてみますわ。」
「なん、それ。」
「何となくっす。」
「はあ…」