あれから一週間。
一週間経っても私は結論を出せなかった。
二人は以前と変わらぬ態度で私と接して来る事が私に一層重圧を感じさせた。
黄瀬か火神かなんて、なんて贅沢な選択肢なのかってちゃんと分かってる。
でも、どっちも同じように好きで、どちらかだけを選ぶなんて私には出来ない。
そう、正直に二人に話した。
告げられた二人は表情変える事なく無言で、その反応のない間が嫌な時間だった。
その嫌な時間は、実際5分にも満たしていない短い時間だったと思う。
5分にも満たない沈黙を破ったのは、以前同じく黄瀬だった。
「まっ、良いんじゃないんスか?」
「あぁ。」
二人で頷きあって納得したみたいだったけど、私にはさっぱり意味が分からなかった。
「言ったじゃないッスか。
俺か火神っちか選べないなら、」
「両方とこのまま付き合ってく…ってよ。」
私は唖然とした。
その考えは聞いていたし、共感も出来るけど、でも、まさか。
「大丈夫ッスよ〜。
そのうち嫌でも俺だけが良いって思わせるんで。」
黄瀬は私が焦っているのが分かっているのか、自信満々と言った感じでニヤリと笑って、それを聞いた火神が呆れた様子で笑った。
「ばーか。
それは俺のセリフだっつーの。」
ああ。
火神も、黄瀬も、馬鹿なんだから。
私みたいなしょうもない女なんかに引っかかって、馬鹿みたいだ。
1人に絞って付き合うとか結婚するとか、正直、馬鹿馬鹿しい。
でも、馬鹿みたいな2人を見て、そのうち私も1人を選ぶ事になるんだろうなあなんて、柄にもない事を思った。
選択式恋愛
それは今から決めるただ1つの愛への探求。
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おわれ