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さすがに私の家の前で出来る話ではないので少し民家から離れた土手まで移動した。

もちろん移動中は会話と言う会話はなかったけれど
私が親から何か言われなかったかとか、寒くないか気遣われた。

そういう二人の心遣いが妙にチクチクと胸に刺さる。




















「ここまでくりゃ話を聞かれる事もないッスね。」
「…あぁ。」

失笑気味に肩をゆらす黄瀬に火神は短く返事をした。

私はと言えば、相変わらずどうしたら良いか分からず落ち着かない。













「佐藤、確認させてくれ。
俺らと、その…同時で付き合ってたってーのはマジなのか?」

「…う、ん。」
「…そ…う、か。」

火神は言いにくそうに訊ねて来て、肯定しか出来ない私にうなだれた。

そんな火神を横目に黄瀬が口を開いた。





「俺と火神っちとで、二股されたことを前提に話し合いました。
結論から言うと俺も火神っちも麗子と別れる気はないッス。」



耳を、疑った。















こういう場合は責められたり別れ話をされるのが普通だと思うし、私もそう思っていた。
でも、今、黄瀬は別れる気はないと言った。

そんな黄瀬の言葉に火神まで大いに頷いて肯定を示した。






言い淀んだ私に追い討ちをかけるように黄瀬が口を開いた。

「黙って俺と火神っち、天秤にかけてたんスからそれくらい良いでしょ。」

にこにこと爽やかな笑顔を浮かべる黄瀬の言う"それ"が何を意味するのかがイマイチ、ピンと来ない。

私からは二人に別れ話をするな、と言う事なのだろうか?


そんな私の思案も黄瀬どころか火神に見透かされたらしく、二人が補足してくれた。







「ま、つまりだ。
俺と黄瀬、お互い譲る気はねえ。」
「かと言って共有って言うのもね…ちょっとヤダし。」
「だから、佐藤が決めてくれ。俺か…」
「俺をね。

まあ…選べないようなら、…両方か、ね。」











二人から選択肢を与えられた。

期限は一週間後だと私に言った時の、二人の顔が離れない。


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