人間、実践して学ぶ生き物だと思うし
やってみなきゃ分からない事だらけだと思う。
なのに1人に絞って付き合うとか結婚するとか、正直、馬鹿馬鹿しい。
まあ何が言いたいかって言うと。
今現在、私がこうしてデートしている人とは別に彼氏がいると言うだけの話なのだけれど。
理由を問われれば冒頭にある通りで
どちらも友人には勿体無い良い物件だし、二人を私が好きだし二人も私が好きだからどちらとも付き合ってて
ただ、一応世間体的に二股を隠してあるから、今現在いる彼氏である黄瀬も、もう1人の彼氏である火神もお互いの存在を知らないって話。
さすがにそれに対しては罪悪感はある。
でもバレなきゃ有りだと思ってる。
「こっちとこっち、どっちが好きッスか?」
「私はこっちが好きかなー。」
絶賛デート中の黄瀬は極力私の好きなようにさせてくれて、絶対的に私の意見を尊重してくれる。
「んじゃあ、はい。」
「ありがとー。」
お店を出て、先ほど買って貰ったネックレスを着けて貰う。
私はお金を出す事が滅多にないけど、買って貰う事に慢心する事はしない。
人として当たり前だけど、何かをして貰う以上は感謝の気持ちは忘れない。
貰ったネックレスは黄瀬からのものに限らず、生まれてから貰ったものの中で一番高価なものとなった。
どれくらい高いかと言うと一般的な高校生のバイト1ヶ月分くらい。
さすがにこれは高過ぎだって断っても引いてくれないから、貰えるものは貰おうと考え直したんだけど…
やっぱり高過ぎて怖い。
「ね、黄瀬。
貰ってから言うのもあれだし、気持ちは凄く嬉しいんだけどね…やっぱり高過ぎだと思うんだけど…これ。」
「気にしない気にしない。
俺は今人気上昇中のモデルッスよー!」
「あー…はいはい。」
売れっ子モデルともなると素で金銭感覚が狂い出すものなんだな、と言う考えでおさめた。
◇
昨日、黄瀬から貰ったネックレスをさっそく身につけて学校に登校する。
正直、無くしたらと思うと付けたくないけど
デザインといいつけ心地といい、値段が値段な為か…凄く良い。
ネックレスに触れながらにやける顔を必死に我慢させる。
ちなみに通う高校は黄瀬が海常で私が誠凛。
もっと言うなら火神も誠凛。
だから基本的に平日の空いた時間は火神で、休日の空いた時間は黄瀬と会ってる。
二人ともバスケット命なとこがあって良く予定が狂うからあくまで基本的に、だけど。
下駄箱で愛しい背中を発見し、声をかけようとしたら向こうが先に声をかけて来た。
「はよー。」
「おはよー。
部活お疲れ様ー、汗凄いよ。」
いつもの事ながらハードな練習のせいで拭っても拭いきれない汗がだらだらと流れていた。
火神にも黄瀬にも言える事だけど、好きになったキッカケは、こういう風に一生懸命バスケットに取り組む姿を見たからだった。
「ん?ネックレス新しいな。」
「ああ、うん。
昨日貰ったんだよ。」
いつもは乙女心に鈍くて傷つく時もあるけど、ひょんな時に気付いてくれるのはかなり嬉しい。でも、黄瀬からのネックレスが新しいとか気付かないほうが良かったのが本音。
「…ふ〜ん。」
まあ火神はそういう男の影に鈍いからそれ以上突っ込む事は無かったけど。