立向居は年下のめちゃくちゃ可愛らしい、わたしのボーイフレンドである。そしていわゆるわんこ系ってやつだ。そのあたりの女の子より可愛く笑うし、へたしたらわたしの目にはいぬ耳と尻尾のフィルターがかかって見えてしまう。目をキラキラさせて喜んだり、しゅんと項垂れたり、本当にかわいい。のろけとかじゃなくマジで。



「四季さぁん!」



向こうの方からわたしの名前を呼んで駆けてくる彼にぶんぶん振ってる尻尾が見える。わたしのせいじゃない、立向居が可愛すぎるのが悪い。あれ?わたし今日可愛いしか言ってない気がする。




「立向居!どうしたの?」
「四季さんの姿が見えたんで、つい呼び止めちゃいました!あ…迷惑、でしたか…?」
「ううん!そんなことないよ、嬉しい」




なにこの子すごく可愛いよ可愛すぎて涙が出そうだよ。緩みまくってにやけそうなのを堪えて、口元に緩く笑みを浮かべてみる。すると立向居はえへへと笑いながら頬を赤く染めた。なんだこいつちくしょうほんと可愛いな。いよいよにやけが隠せなくなって、誤魔化すために口許を手で隠して立向居の頭を撫でた。



「可愛いなぁ、立向居は」
「か、可愛くなんかないですよ…!」



すると耳を真っ赤にして俯いてしまった。この子わたしをどうしたいんだろう死なせたいのかなキュン殺したいのかなあああ襲っちゃうぞおおお!でも立向居はわたしがこんなこと考えてる女だなんて知ったらどう思うんだろう。多分引いちゃうよな…そんなことを考えたら少し気分が落ち着いてきた。



「四季さん?」
「ん?どうしたの」
「四季さんこそどうしたんですか。そんなに寂しそうな顔して」



そう言って立向居はわたしの両頬を手で包み込んだ。「俺、そんなに頼りないですか?」ああああやっぱりこの子はわたしを殺したいらしい。うっかりときめいて顔が熱くなる。



「何かあったらすぐ言ってくださいね。俺、一応彼氏なんですけど」




今すぐ、襲いたいです。わたしはその言葉を飲み込んだ。




100813




実にすみません。悪いのは立向居です。可愛い。