ベッドの隣にあるチェストの上の目覚まし時計を乱暴に叩いてアラームを止める。髪の毛が目の前に垂れ視界が悪いにも構わず、わたしは睨むようにデジタルの液晶を見た。起床予定を告げ一仕事を終えたそれは、きっちり、きっちりと秒数をカウントしていた。寝不足だろうか、なんとなく頭が痛い気がする。



マットレスから引き剥がすように体を起こし、スリッパを履く。そして未だに暖かさを残したベッドに目を向け、本来あるまじき事態を確認した。



「………!?」



いるのだ。誰かが、確実に。こちら側に背を向け、壁側で丸くなって眠っているその人は、肉付きや体格からして多分男だろう。それにしてもなぜ、どうして。仮に窓から入ったとしても第一シングルベッドなのだから誰かが忍び込んできたら嫌でも起きるはずだ。しかもわざわざ自分を退かして壁側に寝るなんて不可能に近い。寝起きで働かない脳みそをフル回転させて考えに考えたが、結局現実的な結論は出なかった。

とりあえずベッドから抜け出し、枕で潰されていた携帯で日本時間を確認する。それからいつもより30分も早くアラーム設定してしまったことを少し勿体なく思いながらも、のろのろと登校する準備を始めた。

とりあえず顔を洗いにいこうとタオルを持って立ち上がる。いつも使っているパステルイエローのタオルを探して部屋を見渡すと、視界の端にそれらしきものが映った。そこはベッドの上であり、眠っている男の向こう側に落ちていた。ちぇっ、と独り言ちてそれに手を伸ばす。もう少しで手が届く、と思った瞬間いきなり手首を捕まれ、ベッドへと引っ張られた。不可抗力で男へとのし掛かる体勢になる。


「積極的だな」


にやり、男が笑った。




110726




続かない。