※明王大学生、ヒロイン社会人設定






目が覚めると、そこには見慣れた光景が広がっていた。いつも朝目が覚めたときに真っ先に視界に入る天井、そして目の端に映るテレビやダイニングテーブル。身体を起こすとそこは紛れもなくわたしの部屋のリビングだった。わたしの記憶では友人と酒を飲んでいて、二次会三次会と店を回っていたはずだ。カラカラに乾いた口の中を潤すために、立ち上がって冷蔵庫で冷やしてあるミネラルウォーターを取りに向かった。服は出かけた時のままではなく、上着はきちんとハンガーに吊るしてあるようだ。一体誰がこんなことをしてくれたのだろう…なんてことは考えない。心当たりがあるからだ。




「よぉ、目ェ覚めたか」
「あ、お風呂入ってたんだ。あ、まさかわたし…」
「ああ、玄関で派手にぶちまけやがって」
「うそおおおおお!」
「うそ」




にやりと笑ってわたしが飲もうとしていたブツを先に取られた。明王が何口か飲み、そのまま差し出される。わたしは素直にそれを受け取って、口の中を湿らせた。




「ったく、潰れるまで飲むなっつってんだろ。介抱する身にもなりやがれ」
「だって…久々だったから楽しくて…。それに明王がいるし!」
「アテにすんなバーカ」




こつん、と額を突かれて明王は髪の毛をガシガシと拭きながら今までわたしが眠っていたソファーにどっかりと腰を下ろした。冷蔵庫にペットボトルをしまい、もう一度リビングに戻る。座りながらタオルを首にかけ、背をもたれている明王の後姿を見ていたら、なんだか彼に触れたくてたまらなくなった。わたしは明王の後ろから抱きつき、首に腕をまわした。




「あーきお」
「ぁあ?んだよ」
「うふふー、好きだよ」
「……早く寝ねぇと二日酔いになんぞ」
「違うもん!好きなんだよ明王が!」
「あーはいはい。もう寝ろ」
「けちー!ばかばか」



明王の軽いあしらいに少しイラッときたわたしは明王の首に軽く歯を立ててやった。すると明王は少しだけ驚いたらしく、ビクッと身体が跳ねた。わたしは少しだけしてやったと満足になり、立ち上がって風呂に入ろうとした。しかし明王はそれを許さず、わたしの腕を引いた。



「どうしたの?わたし今からお風呂…」
「黙っとけ」



そういって明王は荒々しく唇を重ねてきた。角度を変えて何度も何度も啄ばむ。舌こそ入れられなかったが、明王が発情していることは見て取れた。




「誘うだけ誘っといて、それはないんじゃねーの?」
「べ、別に誘ってなんか…!」
「いーや誘ったね。っつーわけで寝室行くぞ」
「い、いやだからお風呂…」
「俺は入った」
「わたしが入ってな…んぅっ」





あとで一緒に入ればいいだろ?そう言って明王はわたしのブラウスのボタンを外し始めた。その顔がまあ滅多に見せないような無邪気な笑顔だったので、その表情にわたしは負けてしまったのだった。惚れた弱みとはこのことだと思う。





110210






2/10は不動の日!