わたしは明王に後ろから抱き締められている。そりゃあくっついてるのは好きだし、むしろ自分から構ってもらいに行くくらいだから、明王から積極的にこうしてくれるのは嬉しいんだけれど。




「明王?」
「……………」
「おーい」




無視か。すると明王はわたしのお腹に回している腕の力を少し強めた。明王が額をわたしの肩に押しつけてうずくまるようにベッドに腰掛けてから一時間。呼んでも反応がないし、離れようとすると腕に力を込めて放そうとしない。正直、暑かったりもする。いい加減にして、と少し怒ろうと決心したその時、明王が顔を上げたのがわかった。腕は巻き付いたままだけど。




「明王どうしたの?今日は妙に甘えただね」
「うっせーな。充電だ、充電」
「充電?」
「だぁーもう!いいだろ!」



明王はあれだけわたしを放さないようにしていた腕をいとも簡単に解いた。空気に触れたお腹が服の中まで入って、ヒンヤリとした。わたしは明王と向き合うような形に、明王の足の間に座り直した。明王の頬は少しだけ赤くなっていて、可愛いと素直に思ってしまった。



「何ニヤついてんだ」
「いやぁ、明王可愛いなぁって」
「あ?男が可愛いなんて言われて嬉しいわけねぇだろ」
「だって、可愛いから仕方ないじゃない?」



わたしは赤くなって恥ずかしそうに文句を言う明王がおかしくて、つい笑ってしまった。その瞬間、明王はわたしの唇に触れるだけのキスを落とした。舌を入れられるだろうと思って少し身構えたが、明王はそのまま何度も何度も唇を啄むようにして楽しんでいる。
唇を放すと明王の顔はさらに赤くなっていて、気まずかったわたしたちは思わず目を逸らせてしまった。



「あ、あきお、今日はなんか、違うね」
「何が」
「いや、その、キスの仕方…が」
「なんだよ。いつもみたいに舌突っ込んで欲しかったのか?」



明王はにやりと犬歯を見せて笑い、わたしをベッドに押し倒した。嫌な予感がする。



「いいいやいやいやいや!するなら普通のキスにして!」
「普通のキスなら、していいのか」
「は?んむぅっ!…んっ」




いつもみたいに噛み付くように唇を重ねてくる寂しがり屋で甘えたな一番自分を愛してくれるこの狼を、一生愛していきます。






101213



アンケート7位でした。あきを可愛いよあきを。