多田 | ナノ




▼12/04/03 Tue: 

 
【概要】
 昔々あるところに、まほうの力を守っている小さな村がありました。その村人たちは貧しい暮らしをしていましたがとても幸せでした。そんなある日、となりの国から商人がやってきました。それはまほうの力を盗みに来た街の悪い商人でしたが、優しい村人は気がつきません。商人は村の全てのまほうが書かれた本を盗むと、村でいちばん偉い人を人質にとって自分の国へと逃げて行ってしまいました。まほうの力を奪われた村人は困りました。まほうの本はむかし神様が村に授けてくださったもので、それがないと植物さえ育たないのです。お腹がすいて力の出ない村人にとなりの国の王様は優しくてを差し伸べました。村人は喜んでその王様に付いて行きました。しかし「助けてあげよう」と言ったはずの王様は、村人を全員海の中へ落してしまいました。なんと王様も、商人の仲間だったのです。商人と王様は、まほうの力を悪いことばかりに使い続けました。そんな時王様の国におかしな病気が流行りだしました。体の一部が木や花になるというとても怖い病気です。王様はまほうの力で何とかしようとしましたが、その病は広がる一方でした。如何したらいいかと困った王様は、ふと隣り村の様子がおかしいことに気がつきました。そこには太陽に届きそうな程に大きい木が立っていて、そこからたくさんの粉が自分の国に向かって飛んでいるのです。驚いた王様はすぐにその木を焼き払ってしまおうとしましたが、まほうの力を持った木はびくともしません。王様は自分のしてしまったことに気づきましたが、もう如何しようもありませんでした。怒ったのは王様の国の人達です。国の人達は商人と王様をかつて魔法を奪ってしまった村人と同じ目に合わせ、大きな木の下に行き自分たちの国がしたことを心から謝りました。するとあれだけ広がっていた病気が少しずつ治っていきました。国の人達はまほうの本を木に返し、その木を『村人の木』と名付けて大切にしました。そして自分たちの手でいい国を作ろうと力を合わせ、みんな幸せに暮らしました。

それから時がたち、まほうという言葉が完全になくなった頃。国中に原因不明の奇病が流行りだし、新聞やテレビを埋め尽くしました。全身に根を張り、最後は心臓に大きな花を咲かせるその病気は花病と呼ばれるようになりました。しかしそれをまほうのせいだと考える者は誰も居なく、いがくやかがくで何とか治そうと学者たちが頭を抱えます。……そんな中、インターネット上のとある掲示板に新しい書き込みがされました。『私は手に葉が生えもう時間がありません。村人の木を一緒に探してください』それを書き込んだのは一人の少女でした。けれど少女の真剣な書き込みを見た人たちはみんな笑いました。村人の木なんてあるはずがない、ただのお伽話だ。そんな中、たった1つだけ彼女を笑わない書き込みがありました。「片足がないですが、僕も行かせてください。妹を助けたいんです」それを書き込んだのは一人の少年でした。少年は右足に根がはり、杖がなくてはまともに歩くことさえ出来ません。けれども彼の妹は、血管の中にまで根を広げていたのです。もう一刻の猶予も、少年には残されていません。少年は少女の言われたとおりの時間と場所に向かいます。果たして、その場所に少女は立っていました。しかし少女の様子は少年の予想をはるかに上回るもので、両耳を葉に侵食されていたのです。少女は携帯端末を持って、少年に差し出しました。

『まほうの本を見つけた。でも遠い。長旅になる』

 突拍子も無い尻切れトンボの文面でしたが、彼女が何を言いたいかは少年は理解しました。藁にもすがる気持ちで書き込みに飛びついた少年でしたが、彼は一目で少女を信じたのです。おとぎ話のような事なのに、彼女の真剣な瞳にある種の説得力を感じたのかもしれません。行こう。口の動きだけで少年は少女に伝えます。彼女は少しだけ表情を和らげると、一度だけ頷いてゆっくりと歩みを始めました。この街には高い城壁があり、その外は危険区域とされて滅多に出ることができません。けれども少女がそちらの方へ行くので、少年は慌てて少女の後を追いました。二人は城壁の向こうに消えていきます。空からはパラパラと雪とも埃ともつかない白い粉が、パラパラと舞い落ち始めていました。


▼補足
つまり国の危機を救うために二人の男女がお伽話にしかない本と木を探す。というだけの単純なお話。
昔pixivで上げてた一次の魔法物。番外編で頭が詰まったので気晴らしがてら投下。もうこれ日記じゃないよね。ただのネタ帳だよね。まあいいか!と笑って頂ければ幸いです。

ところで一次ネタを考えようとすると絶対魔法ファンタジー物になるんですがこれはハリーポッターの影響と考えてよろしいか。いや確かにハリーポッター大好きだし7巻までがっつり読んだし魔法の呪文書とか買って昔夢小説を書いていたけれども。小学校5年生から中学校3年生までジャンプを忘れるほどに魔法一色でしたけれども。まさかこんな場所にその影響が出るとは思いませんでした。小さい頃の習慣って恐ろしいですね。


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