alldayswithyou本文 | ナノ



「あけおめー」
「遅いぞ銀時」
「悪ぃ悪ぃ」
「俺ァとっとと飲みてェんだよ。早く座れ」
「へーへー。あれ、坂本は?」
「坂本ならトイレだ」
「つーかよ、なんでこんな新年早々いきなり飲み会なの。彼女にでもフられましたか?」
「バカ言ってんじゃねぇ。新年早々一発決めてきてヤったよ」
「コラ高杉くん!下ネタはお酒がきてからにしなさい!」
「うるせーぞヅラ。てめェも姫初めとっくに済ましてんだろ」
「まだだ。『年末に夫を亡くし寂しい年越しを送らなくてはならなくなった未亡人が年越し蕎麦を届けに来た行き付けの蕎麦屋店主に「この寂しいカラダ、あなたのめんつゆ(隠語)で暖めて……そして私をすすって(隠語)ちょうだい……最後の蕎麦湯(隠語)まで……っ!」って言いながら心のザル(隠語)を蕎麦(隠語)で埋めるプレイ』を提案したが断られた」
「隠語隠語うるせェェエエ!」
「クックック、相変わらず歪んでやがんなぁ」
「おー、金時来ちょったかぁ!」
「金時じゃねぇって何回言や分かるんだてめーは」
「アッハッハッハ!銀時痛い痛いワシ新年早々禿げちゃう」
「んでなんで俺たちゃぁ新年早々呼び出されなきゃいけないんですか高杉くん」
「おめーさんの年賀状が二日に届いたからだよ。元旦に届いてりゃもう少し早く連絡できたのによォ」
「それ一日しか変わらないよね、どっちにしろ急な呼び出しになってたよね」
「まぁそう怒るな銀時。タイミングよく坂本も海外から戻ってきたのだ。こんな機会もうなかなかないだろう」
「ちょっとお客さん、注文は……うわぁ」
「あ」
「神威じゃねェか」
「なんじゃ二人とも、知り合いか?」
「神楽の兄貴だよ」
「なんと!リーダーのか!」
「リーダー?まぁなんでもいいけどさ、いつまで経っても注文こないから聞きに来たんだよ。しかし今日はどこもかしこも勢揃いだね」
「あ?なんだそりゃ」
「いいやなんでもない、こっちの話。それより早く注文してよ」
「身内だとわかった途端態度変えるなよバイトくん〜えーと銀さんビールね」
「俺もだ」
「ワシも」
「俺ももらおう」
「はいはい」
「つーかお前家族旅行は?なんでバイトしてるんだよ」
「家族旅行は今年は親二人だけ、神楽もそよだかって友達のとこ行ってるしね。んでここ親父の知り合いの店でさ、数日間だけ手伝えって頼まれたんだよ。あ、食事も決めといてよね。じゃ」
「……時に坂本よ、今回も仕事での帰国か?ニュースでやっていたぞ、会社の方は順調だそうじゃないか」
「あ、今回はおりょうちゃんに会いに」
「ちょっと待て前回も同じ理由じゃなかったか」
「銀時、そげなこと気にしちゃいかんぜよ!折角の飲み会じゃき、楽しまなきゃぁ損っちゅうもんやなかとー」
「そうだぜ、新年ぐらい細けぇこたぁ構いやしねェだろ銀時。お前も好きなだけあの女子アナ……なんつったか、ケツノ?そいつの穴の話すりゃいいんだよ」
「高杉お前まだシラフだよな」
「そうじゃ、なんも心配はいらん!バレたら陸奥にちくっと頭撃ち抜かれかけるだけじゃ」
「気にしなきゃダメじゃねぇか!」
「アッハッハ、慣れちょる慣れちょる!そげんことよりおまんらは彼女とはうまくやっとるんか」
「ったりめェだおめー、俺とアイツの相思相愛っぷりすげェんだぜ。アレだ、あのー、新年早々一発決めてきてやった」
「それさっき聞いた」
「俺は『年末に夫を亡くし寂しい年越しを送らな……」
「ヅラおめーは黙ってろ」
「はいはいビールおまち。あとこれお通しね」
「かたじけない、リーダーのお兄さん」
「なァ神威よォ、最近彼女とはどーなんだよ。同級生のがいたろ」
「ん?あれは彼女じゃないよ、まだね。あ、これ以上聞きたかったらとっとと料理注文してくださいね〜そこのやつでタッチすれば注文出来るから電話とかで呼び出すなよ〜ではごゆっくり」
「扉閉めるのにピシャッて音鳴るの初めて聞いたよ俺」
「では今年初ピシャッだな!」
「スキーの初滑りみたいな言い方するな」
「初姫初め」
「それ意味被ってるから、頭痛が痛いとか音速のソニックみたいなことになってるから」
「アッハッハ!ワシは明日初キャバクラで上手くいきゃ初ガンキャノン砲発射じゃ!」
「おめーの風俗事情はどうでもいいんだよ!!つーかガンキャノン砲ほどの長さねぇだろ!!!」





「……っくそ、三杯程度で酔いがまわってきちまった……やっぱ歳かな、つーか高杉初っぱなから飛ばしすぎだろあいつ……」
「おっ、そこをゆくのは旦那じゃありやせんか」
「沖田くんじゃないの。ってこたぁまさか」
「おい総悟なにして……げっ」
「やっぱり土方く…………おいおいちょっと〜居酒屋来ても犬の餌なの〜?うわー銀さん酔いが悪化してきた」
「あァん?てめェ、この土方スペシャル二〇一四午年バージョン馬鹿にすんのかコルァ」
「うま年だけにバカ?バカなのはその味覚だけにしてくれよ、来週の新年会でやろうものなら社内の女子ドン引きするからね」
「うるせェな、知ったこっちゃねェ」
「土方さんは彼女一筋ですからねィ」
「総悟ちょっと黙ってろ」
「年越しは彼女さんの家でキッスだったって聞きやしたぜ、アツアツじゃないですか」
「えっちょっそれあの子だよね多串くんナニソレ詳しく」
「多串じゃねぇ!つーか総悟てめェなんで知ってやがんだ!!」
「あ、本当だったんですねィ。ザキが大晦日に土方さんが彼女さんといるって恨めしそうに話してたから、もしかしてそんな浮かれたこといやいや土方さんに限ってそんなそんな〜とか思ったけど大正解でさァ」
「カマかけやがったな……ッ!おい山崎ィ!!」
「はい土方さん呼びましたかーって旦那じゃないですか!あけましておグェッ!ちょっ苦しっ!」
「なになに勢揃いじゃないの」
「ウグッ土方さ、え、枝豆、枝豆出てくるゥ……!!」
「あぁ出せ思う存分。そして死ね」
「ってことはなんだ、大学のサークル仲間とかか。ゴリラもいんだろ」
「もう酔いつぶれてまさァ」
「顔に謹賀新年とでも書いとけ、油性でな」
「もう書きやしたぜ、股間の横に『アレ勃ちぬ』ってな」
「いや、そこは『ヤバイと思ったが性欲を抑えきれなかった』だろ」
「『何の成果も得られませんでした』もありだと思いやすがどうですかね旦那」
「『これは立体起動装置です』とかでもいいんじゃない」
「起動はしても使い物になりゃしねェですぜ」
「お前らその辺にしとけ。総悟、部屋に戻るぞ」
「おいザキ起きろ、白目剥いてんじゃねぇ。土方さん酔い潰して『駆逐完了』って書くから手伝え」
「上等じゃねぇか。返り討ちにしてやらぁ」
「あ、そうだ俺便所行きたかったんだ」
「そこ右だ。とっとと行け」
「へーへー……アイツの言ってたどこもかしこもってこーいう事か。って、ありゃあ……おーい」
「…………」
「おいおい無視すんなよお義兄さま」
「貴様に義兄と呼ばれる筋合いはないのだが」
「まぁまぁまぁまぁ。あっおにいたまそちらの便器どうぞ綺麗ですよ」
「誰がおにいたまだ。どうして貴様もここにおるのじゃ。なんだ、あのお助け屋みたいな、なんだったか……スケット団はどうした」
「いやそれ漫画違います僕たち万事屋銀ちゃんです。あれは大学のサークル活動で、俺ももう社会人だから後輩に託してきましたよ」
「なるほど。ということはもうあの時から二年以上経つのか……」
「二、三年程度なんざあっちゅー間ですから。スリムだった母ちゃんが中年になった途端下っ腹出てくるのと同じくらい一瞬の出来事ですから」
「うちのクリステルは中年になってもそんなことにはならん」
「当たり前じゃないですかお義兄さま〜年末の妹さんもバッチリお美しくあられたじゃないッスか。予報もばっちり当て……ん?あのなんか忙しない予報当たったのまさか」
「……さぁの」
「いやいや兄君さま目逸らすとかベタだから」
「誰が兄君さまだ。クリステルが雪が降ると言ったから降った、それだけのことじゃ。雪の降る年末も悪くなかろう」
「あー、まぁ寒ぃけどな」
「今年もクリステルの勇姿をしかと目とHDDに焼き付けるのだぞ」
「……行っちまったよ。にしてもあの人のアレこそガンキャノン砲じゃねぇか……」



「だからよォ、着物は脱がす楽しみがあっから気合い入れて着せてやれんだよ……便所行ってくらァ」
「迷うんじゃねぇぞ」
「ったく、呉服屋の息子がその台詞を吐くとは。全く世も末だな、なぁ銀時よ」
「何涼しい顔してやがんだ。彼女の着物姿にムラムラしっぱなしだったのてめーだろうがヅラ」
「おーそんなこともあったのォ!大学の夏休みじゃったか」
「ヅラじゃない桂だ。あれは確か祭りの時で……」
「金時まだ飲むと?」
「だがその時のあいつの恥じらう姿とうなじが目に焼き付いて離れなくてな……」
「あー、んじゃ熱燗」
「ワシもそれにするかのー」
「そして秋の終わりだったか、確かバス停で……」
「ヅラの独り言モード始まっちまったよ」
「しかし高杉遅いのぉ。金時、ちくっと見に行ってくれんか?」
「あ?俺行くの?」
「ほんならワシが行くからヅラの独り言聞いちょってくれ」
「あ、いや、俺行くわ、任せた」
「冷えたで図書館で一人……おい銀時!まだ話は終わってないぞ!ピシャッと閉めるんじゃありません!聞こえてるのかァァァ!」



「……ったくめんどくせぇな……しかし今日はずいぶん繁盛して……っと」
「ブッ!!!っやだ銀さぁぁん!新年早々ドSなんだから!でもそんな銀さんをさっちゃんは今年も追いかけるんだぞ☆」
「あーそうかィ、悪いが今俺は急いでんだそこどけろ」
「猿飛お前なにし……あっジャンプ侍」
「痔持ちブス専前髪忍者サークルくんじゃないの。なんだお前らも同窓会か」
「お前らもってこたぁそっちもかい。つーかなんだそのてんこ盛りのあだ名は」
「ブス専のくせに女いるそうじゃないの、美人の」
「なんだ悪いか。年明け早々顔見に行きたくなるくらい美人だぜ」
「痔持ちでも彼女って作れんだな」
「糖尿でも作れんだから余裕だろ」
「ところで足にまとわりつくこいつ剥がしてくんねぇか」
「蹴っ飛ばしとけ」
「ぐあっ!!んもう銀さんてば、私が何されても喜ぶと思ってるわけ?そうよ!」
「おーいそれ柱」
「このまま眼鏡外しときゃいいか。あと任せたぜ」
「ったく、おい猿飛戻るぞ」
「あぁっ!銀さぁん!!」



「やれやれなんて日だ……あ」
「お。坂田銀時ではないか」
「おめーもかよ」
「なにがでござるか」
「こっちの話。何、事務所?あ、もしかしてお通ちゃんいるの?サインくれよサイン」
「未成年だから今日はおらぬ。あ、母親が書いたのならいいぞ、お通サインめっちゃ得意でござる」
「いらねェ!本人忙しくて代わりにサイン書いてるマネージャーかよ!!」
「そうでござるが」
「えっ嘘、そうなの?ぱっつぁん悲しんじゃうよそれ」
「冗談でござる。ちゃんとあの子が書いてるからネクロマンサー」
「あ、そういや今トイレから来たよな。高杉知らねぇカンブリア宮殿」
「あぁ晋助なら鏡の前にいたいのいたいの飛んでけ〜」
「ありがとうきびうんこ〜」
「どういたしましてんぷら粉〜」



「おーい高す……ぐおっ!いってぇなクソ転んじまったじゃってギャアアアア!!吐瀉物ゥゥウウ!!!」
「お客さん大丈夫で……銀さん!?」
「ちょっ長谷川さんじゃねーの、助けて誰かのゲロ踏んだ!」
「ギャアアアア触るなァァアア!!!中で洗ってきて!!今床拭くから!!ほら!」
「くっそ最悪だ、誰だトイレ前に吐き散らした奴……ん?おい高杉、高杉くーん、そこでしゃがんでるの高杉くんだよねってお前かァァアアア」
「あ゛ぁ?……っあー、なんだ銀時かァ……うっぷ」
「ドア前で吐いたのテメーか!見て銀さんのこのケツ!きみのリバースしたやつ!どうやって帰りゃいいんだこれ!!」
「んなもん脱ぎゃァいいだろーがよォ……俺ァ今ちょっと酒が胃からフライングゲットしてオボロロロロ」
「ゲットじゃなくてアウトだからねそれ!?おいちょっと待ってろ今水持ってくっから」
「おぃ銀時ィ、逃げんじゃねェ」
「グェッ、おい襟離せ苦しっ」
「銀時ィ、おめぇはこの世界をどう思う」
「あ?なに言ってやがんだ」
「俺ァな、いつも思うんだ……どこもかしこも腐ってやがる。傷んだところをただ摘めば良いって訳じゃァねェ。根本から叩いて、いや、ぶっ潰してやらなきゃなんねェってな」
「……高杉、お前」
「例え日常で些細な幸福を感じてもなにか物足りねェ……俺の中の獣が叫んでるんだよ。暴れ足りないってな」
「おい、」
「じゃあどうすりゃいい?国家にあだなすテロ組織でも発足すっか?俺ァただ壊してェんだ、俺たちをここまで苦しめた腐った社会を……そう、やられたらやり返す、倍返っ、うっ、おぇぇぇぇ」
「返しきれてないィィイイイ!!それ言いたかっただけだろォォオオ!!」
「うえっ、ぐ、くそ……こんなもんに負けてらんねぇんだよ俺は……!」
「いやもうとっくに負けてるからね、トイレの外で吐いた時点で大敗だから。左遷決定だから」
「こんなとこでくたばるわけにゃいかねえんだ俺は……松陽先生の仇を……!!」
「恩師殺すなァァアアア!年賀状来てただろ!」
「そういやそうだったな……よし、戻って飲み直すぞ銀、うっ、」
「無理でしょうが!そりゃ初っぱなからあんなペースで飲んでたらこうなるだろ!」
「じゃあいつ飲めばいいんだよ!!今でしょ!!」
「うるせェェエエ!!何今日は人一倍ボケてやがんだ、ヅラかてめーは!おらちょっと待ってろ、てめーの彼女にも連絡して迎えに来させるから!!!」





「ではまたな、銀時」
「また帰ってくる時ゃ連絡ばするぜよ!じゃあのぉ!」
「おーじゃぁな……ひっく……あーくそ、高杉帰らせたからって安心して飲んだのが間違いだったな、気持ちわりぃー……」
「ちょ、銀さん!?」
「名前!?なんでここに……」
「ちょっと大丈夫?桂くんから連絡あってね、一人じゃ帰れなさそうだから迎えに来てやってって」
「ヅラめ、余計なことしやがって」
「そういうこと言わないの!ほら、ウコンも買ってきたから」
「あー、悪いな」
「具合大丈夫?歩ける?タクシーで帰ろっか?」
「いや、歩いてりゃ酔いも冷めんだろ。……ん」
「ん?」
「手」
「あぁ、手ね。……銀さんてば、お酒入ってるとちょっと可愛いのになぁ」
「ふわぁーあ……ん、なんか言ったか?」
「ふふっ、ううん、なんでもないよ。じゃあ帰ろうか」
「……おう」





雪祢




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