Happy Ever After!


ハリーは、昨日届いた一枚のハガキをぼんやりと眺めていた。それはホグワーツ時代の友人からであった。
キングス・クロス駅が描かれた絵葉書で(わざわざマグルの店で買ったらしく、ハガキの絵は動いていなかった)、短い文章と署名のみが書かれていた。


『親愛なるハリー、お元気ですか?
私たちは元気です。最近英国に戻ってきました
近々、会いに行きます    名前』


懐かしい名前だ。
彼女はホグワーツの戦いのあと、暫く城の復旧作業を手伝っていたが、粗方の補修が終わったところで彼女の夫と共に長い旅に出た。

ごく偶に届く絵葉書以外、彼女の安否を知る方法はない。
便りがないのは良い便りともいうし、走り書きのようなメッセージからは楽しそうな様子が伝わってきた。
先の戦で大切なものを喪った一人である彼女が、気侭に過ごせているなら何よりだろうとは思う。
が、友人としてはやはり一抹の寂しさを覚える。

元より彼女は秘密主義というか、あまり内心をさらけ出すタイプではなかったし、他の二人と違って常に一定の距離を感じていた。
それに対してどうにももどかしさが拭えず、ついつい辛辣な物言いをしてしまっていた自身の幼さを、彼女は鷹揚に受け止めてくれていた。
加えて、彼女の夫とは色々あったし、ハリー自身複雑な想いはありつつも、かけがえのない友人であることはいうまでもない。


その頃ハリー自身は、数年間の猛勉強と実践訓練を経て、晴れて闇祓いとして活動していた。
魔法大臣となったかつての仲間、キングズリー・シャックルボルトの依頼で入職するという形ではあったが、無資格無試験でその職が手に入る訳もなく、それなりの努力をしたという自負もある。

しかし最近、ハリーは『魔法界の英雄』という肩書がこの上なく重く肩にのしかかってくるのを感じていた。

あのヴォルデモートを倒したのは間違いなく自分ではあるが、それはダンブルドアの緻密な計画の上、周囲の助けがなければ成し遂げられなかったことであるし、結局のところ運が良かったとしか言いようがない。

闇祓いになってより痛感したのだ。ヴォルデモートは道を踏み外したが、優れた術者であったことは間違いない。冷静な状態のヴォルデモートと、純粋に力と力で戦ったら間違いなく勝ち目はなかったと思う。
ヴォルデモートを倒したのは自分自身の実力ではない。ハリーにはそう思えてならないのだ。


同期として入職したロン・ウィーズリーとネビル・ロングボトムは、順調に職務を全うしている。
ロンの勘の良さは天賦の才とも言えるもので、ハリーもそれに幾度となく助けられてきた。ポロリと溢した何気ない一言が問題解決の糸口に繋がることがままあり、現在バディを組んでいる先輩職員からもかなり信頼されているようだ。

そしてネビルも豊富な薬草学の知識を活かして、捜査に大きく貢献している。ホグワーツで学んでいた頃は自信のなさからどこか消極的で気弱に見えていたが、ネビルは元々勤勉で頭も良い。あの戦いを通して秘めていた勇気を表に出せるようになった今、彼は非常に優秀な闇祓いとなった。

同じくあのホグワーツでの大戦を潜り抜けた仲間が活躍する様は誇らしくもあり、少し置いていかれたような気分でもあった。

皆それぞれ、新たな道を歩み始めている。
ハリーは未だ、ただの『英雄』のままだった。







「ハリーィ!」

退勤後、陰鬱な足取りで魔法省から出たハリーを間延びした呑気な声が呼び止めた。聞き覚えのあるその声に、なんとも言えない心持ちで振り向く。

「名前」

「久しぶりね、ハリー」

「本当にね」

皮肉を込めた言葉を気にすることもなく、名前は相も変わらぬ朗らかな笑みを浮かべていた。

「………君は変わらないね」

「そう?まあ、10代じゃないもの。たかだが数年ではそんなに変わんないのかもね」

「たかだが、じゃないよ。この数年で、色々なものが変わったよ」

「──そうね。あなたはとても凛々しくなった」

彼女は何かに思いを馳せるように宙に目をやり、少し目を伏せた。しかしそれはほんの束の間、次の瞬間にはぱっと楽しげな笑顔をみせた。

「ねぇハリー、このあと空いてる?久しぶりに話がしたいの。是非うちに来て!ね?」

「え、でも……」

「いいじゃない!ね?ちょっとだけ!」

戸惑っているうちに彼女の勢いに押し切られ、さっと腕を組まれたと思えば覚えのある目眩のような感覚に見舞われた。







姿現しで辿り着いた場所は、ロンドンの喧騒とは対照的に、どこか懐かしいような田舎町だった。
ハリーはゴドリックの谷の光景が頭をよぎる。

「こっちよ。さあ、入って」

名前が入っていったのは、貴族のマナーハウスのような家だった。こじんまりとした佇まいだが丁寧に管理され続けてきたであろう歴史を感じさせる。


「こっちに座ってて、お茶を用意するわね」

そう言って名前は、リビングダイニングの側のミニキッチンに入っていった。
カチャカチャと鳴る食器の音を聞きながら、ハリーは窓の外に目を向けた。それほど広くはない庭は、最近土が掘り返されたようだった。何本かの畝が作られていて、恐らく畑をするつもりなのだろう。


「──帰ってきてたのか」

不意に聞こえた低くねっとりとした声に、ハリーは心臓が跳ねた。
彼女に家に誘われたとき躊躇したのはこのためだ。
記憶にあるものよりも随分と甘い響きをしていたが、苦い想い出をズンズンと掘り起こすのには十分だった。

そんなハリーの思いをよそに、妻のつむじにキスをし腰に手を回してイチャつく姿は、胸焼けを起こしそうなほど睦まじい。
目尻を下げて微笑む顔にはあの陰険さは見る影もなく、ハリーは何故か目を離せないでいた。

「ん?紅茶にするのか?やめるんじゃ…」

「私は飲まないからいいのよ」

「なら何故カップが2つ……」

バッと勢いよく振り返ったスネイプと、バッチリ目が合ってしまった。
穏やかだった顔にはみるみるうちに深い皺が刻まれ嫌悪感が浮かび上がった。
ああこの顔だとハリーとしては寧ろしっくりくる。


「さあ、セブ。お客様に紅茶をお出ししてね」

顔を見合わせたまま硬直しているハリーとスネイプを尻目に、名前は朗らかに微笑んだままハリーの目の前のソファに腰掛けた。

スネイプは釈然としない表情のまま、トレーに載せた紅茶とクッキーをテーブルの上に並べる。そして促されるままに、名前の隣に腰掛けた。



気まずい沈黙が降りる。
こんな状況を作り出した張本人に視線で助けを求めるも、彼女は何を言うでもなくただにこにこと笑みを浮かべるのみ。

「お久しぶりです、スネイプ先生」

仕方なくハリーが口を開いた。久々に口にした『先生』という響きはなんだか白々しく響いた。
スネイプは唸るように声を出したが、返事というにはあまりにぞんざいだ。

「あー……ええと、素敵なお宅ですね」

無難な話題を選んだつもりが、何かしらの地雷を踏んだらしい。ぐっと目付きが険しくなり、無言で押し黙る。
その姿に、なんだか無性に腹が立った。


「…………僕が一体何をしたっていうんだ」

心の中で呟いたつもりの言葉が、思わず口をついて出てしまうほどに。

「そりゃ素直な生徒でなかったことは認めますけど、それ以前の問題でしょう。あなたは僕を知りもしないで初めから毛嫌いしていた」

こんな激情に見舞われるのは久しぶりだった。
沸々と、積年の恨みが噴出するのを抑えられなかった。

この人の事情は聞いたことがあったし、その境遇はハリーにも共通する部分があり、少なからず同情もした。
けれどその負の感情をこちらに向けるのはお門違いだ。大人になった今だからこそ思う。11歳など幼い子供でしかない。そんな子供に向けられるにはあまりに酷なものだった。

「初めて会ったよく知りもしない大人から身に覚えもない悪意を向けられる気持ちがわかりますか。お陰で毎回あの地下室へ降りていく度憂鬱で、魔法薬も大嫌いになった。英雄気取りだなんだって、僕が好きで英雄になったとでも思っているのか」

一度緩んでしまった口を閉じることはできなかった。
正面に座る友人のことが頭をよぎりはしたが、正直それどころではない。

「──僕が父に似ているのは、僕のせいじゃないのに」

自分の預かり知らぬ部分で批評がなされる。その歯痒さをハリーは数え切れないほど味わってきた。
そしてそれを初めて直接ぶつけてきたのがこの人だ。ハリーはありったけの憎しみを込めてスネイプを睨みつけた。


「勘弁してくれ……」

返ってきたのは思いの外弱々しい声だった。

「その詰め方、リリーにそっくりだ。親子っていうのはそんなところまで似るものなのか……………」

スネイプは頭を抱えてうろうろと視線を走らせた。
そのあまりに弱りきった様子に白目を剥いているハリーとは裏腹に、名前はからからと楽しそうな笑い声を上げる。

「ハリー、もっと言っていいのよ。あなたには十年ものの恨みを晴らす権利があるわ」

「いや……あの、あー……」

鼻で笑われるか怒鳴りつけられるものと思っていたハリーは、あまりに想定外の反応に頭にあった恨み辛みごとの1/5も撃ち出す前に、装填していた言葉が吹き飛んでしまった。


「ハリー、ポッター…………」

肺腑の底から絞り出すような溜息と共に、名を呼ばれる。

「お前は、母親に似ている」

真っ直ぐにハリーを見据える視線に、見慣れた憎悪は浮かんでいなかった。その黒い瞳が夜の湖のように静かに凪いでいるのを初めて見た。

「あの男より余程………」

冷笑にも似た歪な笑みが唇の端に浮かぶ。
くっきりと刻まれた眉間の皺が抜け落ち、どこかぼんやりとした曖昧な表情は、ホグワーツにいた頃よりも随分と若々しく思えた。

「お前の母は……、リリーは……誰より心優しく、正義感があって……時折向こう見ずにすら思える程の行動力があった。憎らしいほど、よく似ている。──君の言う通りだったな」

「でしょう、私の自慢のお友達よ」

誇らしげに言う名前に、スネイプは口元を緩ませる。その表情があまりに柔らかく、見てはいけないものを覗き見てしまったような気になって目を逸らした。

「ハリー・ポッター。お前が魔法界のために払った犠牲と、その貢献に敬意を払う」

ハリーはなんと返していいか分からず、半端に口開けては閉じを繰り返し、結局言葉にするのを諦めた。

静かな沈黙が降りる。けれど初めとは違って、それほど気まずさは感じなかった。


「……さて、お茶も冷めちゃったし、淹れ直してくるわね」

「いや、私が淹れる。疲れただろう、君は座っていろ」

「ありがとう、セブルス」

スネイプはさっとテーブルの上のカップを集めて立ち上りキッチンへ向かった。

「なんだかまた過保護が増してるね」

「まあ、今はね。………まだあんまりわかんないかしら」

そう言って名前は、ゆったりとしたセーターを身体に沿わせるように押さえた。そこにはふっくらとしたなだらかな膨らみが。

「あ……おめでとう」

「ありがとう、この子のために戻ってきたの。
私たち二人とも身寄りらしい身寄りはないけれど、やっぱり慣れた場所の方がいいと思って」

「そっか。ウィーズリーおばさんには知らせた?子供たち皆出て行って寂しいってずっと言ってるから、喜んで手を貸してくれると思うよ」

「ええ、実はもう助けに来てくれたの。こっちに戻ってきてすぐのころ、暫く体調を崩しててね……」

「そうなんだ、全然知らなかったよ」

「やっぱり慣れないことばかりで精神的にも参ってたみたいでね。セブルスがモリーを連れてきてくれて、もうほんと救世主に見えたわ」

「あれほど頼もしい人はいないよね」

腕まくりをし、張り切ったウィーズリーおばさんの姿がありありと思い浮かぶ。

「こういうとき男は役に立たないものだ」

湯気の立った紅茶が再びハリーの前に置かれた。
名前の前に置かれたカップには紅茶よりも色の薄い液体が入っている。

「そんなことないわ。あなたの魔法薬のお陰で早くつわりも落ち着いたわけだし」

「今はもう体調は大丈夫なの?」

「ええ、もうすっかり。──そういえば、ロンとハーマイオニー、婚約したんですってね」

「そうそう、かなりすったもんだあったんだけどね」

二人の間に挟まれて伝書鳩をさせられたハリーはげんなりと思い出す。

「ああ、大体知ってるわ。こちらに戻ってきたって連絡したら、こーんな分厚い手紙がすぐに届いて………読むのに2時間くらいかかったの」

「だろうね」

流石にハーマイオニーの手紙はやりすぎだとは思うが気持ちはわからなくもない。
旅先から絵葉書が届いたところでこちらの返信が届く前に彼らは次の場所にいってしまう。こちらから連絡する術などほぼ無い状態だった。
そこには数年分の話したかったことが詰まっていたのだろう。

「ハリーは闇祓いになったのよね?何年か前、新聞の一面になってるのをみたわ」

「まあね。ずっと訓練訓練で、実際仕事するようになったのはここ一年くらいのものだけど」

「夢を叶えたのね。すごいわ。」

「結局、地味なもんだよ。お役所仕事さ。上の言う通りの人間を捕まえて、証言を取ってって………」

はじめ闇祓いに憧れたのは、ヴォルデモートを倒す力を得るためだ。その目的を達した時点で闇祓いの職につくことに然程意味を見いだせずにいたが、結局キングスリーに誘われるまま入職した。

戦後の混乱の中で、新しい秩序を作り直すための旗頭が必要なのはわかっていた。『英雄』の看板が欲しいだけだったとしても、必要されることは嬉しかった。

「ヴォルデモートは、僕にとって絶対的な敵で、倒すべき邪悪だった。
でも実際僕が闇祓いとして捕まえるのはさ、私怨だったりただの商売だったり。ただ自分の利益のために動く奴らばかりだ。勿論そんな奴らの言い分なんて聞いてられないからさ、ただ淡々と仕事するだけなんだけど。」

ヴォルデモート派の残党も僅かに残ってはいたが、幹部はあらかた戦死または投獄された今、死喰い人とも呼べないようなチンピラが蔓延るのみ。
奴らは長いものに巻かれていただけで、簡単に宗旨替えしていく。

「こんなの意味あるのかな、って。一方を捕まえても、もう一方に非がないわけじゃない。なら全員捕まえるのか?って………、きりがないよ」

自分が何をしているのか、ただ上司から下される命に従うより他にない今のハリーにはもう考えることすら無駄に思えた。

「────ヴォルデモートも、端からお前の知る手負いの獣のような状態だったわけではない」

黙って聞いていたスネイプが重々しく口を開いた。

「一方から見た闇の帝王は、理知的で懐深く、目的のために献身するある種のカリスマ性があった。奴の考えに賛同し、共感し、敬愛するものが集まっていた。
奴がただ力で他者を制圧する独裁者であれば、ダンブルドアがあれほど手こずることはなかっただろう」

ヴォルデモートのために働いていた幹部たちの心酔するような目は今でもありありと思い出せる。奴に従うことが正しいのだと心から信じているようだった。
ハリーには頭の狂った連中としか思えなかったが、それらも一人の人間。そう思わせるなにかがヴォルデモートにあったのかもしれない。


「結局のところ、全ての者にとって絶対的な悪などそうそう存在しない。重要なのはお前とお前の守るべきものたちにとって、害になるか否か。
職務である以上、その命令すべてに納得がいくとは限らないだろう。だが、判断を委ねる先は選ぶことができる。その上で滅私で従うのか、自分の信念を優先させるのか。
自らの行動を定めるのは、お前自身だ」


「………はい、先生」

『先生』という言葉は、ストンと心に落ちた。

「すまない、説教臭かったな」

スネイプは嫌味と捉えたのか、そわそわと気まずげに足を組み替えた。顔はそっぽを向け、視線が忙しない。


人間というのは変わるものだな、とハリーは不思議に思った。
いつもむっつりと不機嫌そうな顔か、嫌味を言いながら口の端を持ち上げる嫌らしい笑みしか見たことがなかった人物の色々な表情を、このわずか小一時間ほどであまりに多く見てしまった。

随分と人間味のある顔つき。
ヴォルデモートの闇から解き放たれたこの数年でこうも変わったのか。それとも名前は初めからこれを見ていたのか。

それはハリーには知り得ぬことだったが、無二の友人とその大切な人が今、幸せなのだろうことだけは理解できた。







「ほんと、世界中色んなところに行ったのよ。とりあえず観光地っぽいところは一通り行ったんじゃないかしら」

「やはり一番は日本だな。日本食はヘルシーで芸術的だし、ファストフードも安いわりに美味い。……ただ、アレだけはいただけない……」

「アレ?」

「nattama…………」

「ああ、納豆卵かけご飯ね。あれは正真正銘日本でしか食べられない最強のローカルフードよ」

「納豆というこの世のものとは思えない匂いのする腐った豆と、生の卵をライスに乗せるんだ。腐った豆と生の卵だぞ?正気を疑った」

「生卵はともかく、納豆に関してはマーマイト食べる人に言われたくないわ」

「あれは美味いだろう」

「いや、ないわ。ちょっと変わった匂いのチョコレートクリームかと思ってパンに塗ったら地獄を見たもの」

「あ、そういえば食堂で思いっきり吹き出してたよね。懐かしいな」

「え、何でそんなの覚えてるの、ハリー」

あれは確かまだ低学年の頃だ。ハリーが名前とよく話すようになる少し前で、何故かスリザリン生がハーマイオニーと共にグリフィンドールの席に座っていたのが印象的だった。

「すごい分厚く塗っててさ、そりゃ塩っぱくて食べられないよ。薄く塗ってチーズを乗せて食べると結構美味しいよ」

「ほらやはり美味いと言っているだろう。食わず嫌いせずもう一度食べてみるといい」

「えー………ないわ。なんなのこの英国人のマーマイト愛


名前はとんでもなく嫌そうな顔で首を振る。
その顔があまりに面白く、ぷっと笑いが込み上げた。

名前の隣に座るスネイプと目が合う。不自然に目をそらすこともなく、自然と笑い合う事ができた。


それから、名前が昨日から密かに仕込んでいたらしいテーブル一杯の夕食を綺麗に平らげたときには、随分と夜も更けていた。

「ハリー、夜も遅いしやっぱり泊まっていって?」

「いや、今日は帰るよ。今結構ごたついててさ、急な呼び出しがあるかもしれないから」

勿論事実ではあったが、それ以上に、この夫婦を見ているとなんだか無性にジニーの顔が見たくなった。

「そう……またゆっくり遊びに来てね。今度はジニーにも会いたいわ」

そういっていたずらっぽく笑う名前には全部見透かされているのかもしれない。

二人でいるのが当たり前な夫婦に見送られ、ハリーは家路についた。その足取りは随分と軽くなっていた。

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