「はあ、テスト返し終わってからの委員会か〜」
「名前ちゃんにとってはご褒美じゃないですか!!」
「そ、それはそうだけど…」


テストが返却時いきなり片倉先生から放課後文化祭の委員会あるからなと言われ、テストの点数の悪さに委員会という重荷が加わって一度はちょっぴり気分が沈んでしまった。
けれど、鶴ちゃんの言う通り私にとっては長曾我部くんと過ごせる時間なんてそうそう作れるものじゃないのでご褒美になる。
そんなご褒美もあるならテストもたまにはいいかもしれないと思ってしまうほど私の中での長曾我部くんとの時間は大きいものだった。



「じゃあ頑張ってくださいね〜」
「何を頑張るんだ?」
「長曾我部くん!?」


鶴ちゃんが私の肩をガシッと掴んだ時だった。
ふいに現れた長曾我部くんが私の顔を覗いた。


「聞いちゃいけねぇ話だったか?」
「い、いやそういうわけじゃないんだけど…」
「相変わらず海賊さんはデリカシーが足りませんね。
 気にせず早くクラスのために名前ちゃんと委員会へ行ってください!!」
「んなこたぁ、わかってる…って、うわあっ」


鶴ちゃんが私にも行ってらっしゃいと一言言うと長曾我部くんのいる方向へ向かって私の背中を思いっきり押した。
バランスが取れなくなり、そのおかげでちょうど長曾我部くんの胸の中に体がおさまってしまった。


「あっ、ごめん!!」
「いや、俺は大丈夫だからよ。じゃあ行くか」
「うん…」


幸いにも長曾我部君は嫌な顔ひとつ見せなかったけれど、距離があんなにぐっと縮まったのは初めてで私の胸の高鳴りは会議室に着くまで落ち着く様子はなかった。







着いた時間が開始直前だったらしく会は着いた途端に開かれた。


「それでは第二回文化祭の会議を始めます。今日はステージ担当、警備担当で役割をくじで決めるので…じゃあ適当にどちらか書いてる紙くばるので、右側にステージ担当で左側に警備担当で分かれてください」


これはもしかして長曾我部くんとわかれる可能性があるんじゃ…
そう思って一人机の下で両手を合わせて必死に神頼みをする。

ドキドキしながら配られた紙を見るとそこには『ステージ担当』と書かれてあった。
隣をちらりと見てみれば長曾我部くんが『ステージ担当』と書かれた紙を見せた。


「その反応じゃ一緒みてぇだな、ステージ担当でもよろしくな」
「こちらこそ改めてね。じゃあ席移動しよっか」
「ああ、行こうぜ」


そして流れで隣の席になったので今日ちょっと運いいんじゃないかとふと周りを見回してみたらそこにいるのはほとんど1、2年生だったと気づく。


「あ、3年忙しいから警備の方に多めに入れています。またステージの方に回った3年は主に企画を担当し、2年が制作を中心となってしてください」



生徒会役員の人の一言で肩を落とす。
あんだけ必死に神頼みしなくても可能性は高かったんだ…。


「あれ〜旦那たちも一緒だったんだ」
「おう、猿飛もかすがもか!」
「1、2年はほとんどがこっちだからな。それにしても制作は2年中心だったか」
「本当頑張らなきゃね」



夏が明ければ文化祭。

噂によると毎年2年に嫌がらせのごとく3年の企画するものが高度らしい。
でも、その分校外でも評価は高いらしいし、盛り上がるためのひとつの要素らしい。

これは頑張らないと、そう思う反面大変だと思った途端背中に汗が流れた気がした。




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