始まりは、彼の魅入れられるようなプレーを見たあの瞬間からかもしれない。

目を奪われるような、輝きを魅せる、あの動きに憧れた。
それからだ。
彼に、認められたいと想ったのは。

「青峰っち!」
「黄瀬」

いつものストバス。
立ち寄ればやはり青峰。
黄瀬は嬉しくなり、思い切り飛びつけば案の定アイアンクローを喰らってコートに蹲る。

「酷いっス青峰っち…」
「うるせぇよ」
しかし、そんなことで負ける黄瀬ではない。あっさり立ち直り、駆け寄った。
めっちゃ良い笑顔で。

「わんおんわんしようっス!!」
「お前の頭にはそれしかねぇのか」

わしわしと頭を撫で回されて乱れる髪。しかしそれに構わず眉尻を下げ、縋るような目で青峰を見つめる黄瀬。
この時の黄瀬を見て『捨てられた子犬だった…!』と後に黒子に語った青峰であるが、現時点で知る由もない。

「…駄目っスか?」

ぐ、と青峰は声を詰まらせて唸る。そして思った。
可愛い可愛すぎる何この可愛い生きもの黄瀬まじ天使だしまじ俺の嫁。
と、暴走しまくりである。
勿論そんな青峰の葛藤というか苦悩なんて知ったこっちゃねぇな黄瀬は、尚縋りつくような目をして青峰を見つめている。

「…………っだぁぁぁぁぁくそ!!」
「っ」
「わァったよやるよやれば良いんだろ!!やってやるからそんな(クソ可愛い)目ぇして俺を見んなァァァ!!!」
「…はい?」

半ばヤケになって叫ばれて了承を得られたかと思えば、意味わからん内容。
何言ってんだ。
しかし1on1の約束を取りつけたことに変わりないので喜ぶ。

「やったっス青峰っち!ありがと!」
「…おぅ」

勢いのまま青峰に抱きついて顔を覗き込めば、浅黒い肌だから分かりにくいが―――赤らんだ頬に、黄瀬は可愛いと思った。

ふと、込み上げた悪戯心。黄瀬は抱きついたままニヤリと笑い、背に回していた腕を首に回して顔の距離を詰め、青峰の驚愕顔をアップに、唇を重ねた。
触れるだけの口づけ。
少しだけ顔を離せば、青峰は真っ赤になって照れているものだから、黄瀬もつられて照れる。
顔に熱が集中しているのが分かった。

「………あ、」
「…………何か言え、駄犬」
「駄犬じゃねーし。…青峰っち」
「………ンだよ」

じって照れ臭いまま見つめあって。

「もっかい。今度は青峰っちから、シてよ」

その後に、1on1だ。
お願いしてみれば青峰はニヤリと雄らしい笑みを浮かべて「良いぜ腰抜かすんじゃねぇぞ」と挑発したと同時に唇が重なった。

先程よりも、深く深く繋がったキス。

込み上げてきた熱によって、1on1するよりもこのまま深いキスを交わしていたいと心変わりしてしまうのも、青峰の所為だ、と内心悪態ついて。―――でも。

やっぱり好きだと、心地良い温もりに身を委ねて目を閉じた。





『この熱は誰の所為?』

(ていうか、ここって外だったな)
(…………ぅわ、)
(何今更恥ずかしがってんだよ、バカ黄瀬)



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