饅頭と嫉妬と茶




「あれ、お饅頭じゃ無いですか」
「菓子売りがその辺にいたのでな」

女の菓子売りであった。そう言って無惨は土産と称して玲に饅頭をやる。玲は少し考える素振りを見せた後すぐさま、あぁ!お斎ちゃんですね。愛嬌も気立ても良いんですよ、何より可愛らしくて……。と、まるで近所の子供を褒める老人のような反応を示した。

違う、そうじゃない。それは私の求める反応では無い。と、無惨はその言葉を飲み込み、盛大に溜息をついた。

──コイツは嫉妬を覚えることがないのか!

玲に饅頭と共に出され、無惨が飲んだお茶はどことなく渋かった。

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