格付けパロ


青色、赤色、時として黄色の部屋に入り芸能人の質を図るこの番組。間違え続ければ映す価値がないとされ画面内から消えてしまうこの番組。

たまに行われるゴールデンタイムの特番に説明は要らないだろう。兎にも角にもワインにクラシックなどと言ったいくつかの関門をクリアした一流芸人の玲と無惨の二人を待ち受けるのは、味覚チェックであった。


「牛肉……」
「そのようだな」


人肉ではないのかとポツリと無惨は心の中で呟いた。かつて鬼だった頃の無惨は人肉を食らえば、どこで育ちなにを主に食べてきたのかなどをピタリと言い当てれるほどの味覚の持ち主であった。不味い肉から希血の肉までのすべての味を覚えるのに千年は要らなかったと無惨は述べる。まぁだってそれしか食べるものがないのである。

鬼の始祖だってかつて一人で格付けチェックをしていたのかもしれない。──懐かしいものだ。玲はそんな無惨の考えていることを察していたのだろう、無惨の空いている手を握りくすぐり始めた。


「今回は牛肉だよ」
「私はまだ何も言ってないのだが」


だって顔に書いてあったから。そう言ってのける玲に無惨はそんなものわかるのはお前だけだと返事をしながら席に着く。そしてアイマスクをつけたところで隣の席に座っていた玲が笑いを挙げた。そこ、聞こえている。


「玲」
「ふふっ、いやごめん」


さっきから見ているのになかなか慣れなくて、そう言いながら玲もアイマスクをつけた。無惨のアイマスクもそうだが、玲のアイマスクもなかなか面白いのである。思い出して噴き出しそうになるも面子というものがある無惨はグッと堪え運ばれてくる牛肉を待つことにした。

このやり取りを見てモニター前の参加者達の空気が和んでいることを二人は知らないのである。




「これは……うん」
「こんな問題もわからないのであればなぁ?」


クスクスと笑い、お互い見つめて大きく頷いた。わかりきった答えである。わかったよな玲と無惨が声をかけると玲は無惨こそわかってるの?と声が帰ってきた。これはもう今回の番組初出演で全問正解なのかもしれない。まぁ私と玲のコンビを舐めては困る。二人の掛け声とともにあげられたものは、

「Aです!」
「Bだ」

えっ?