カロリー(男主)

※名前変換はない


「無惨無惨無惨無惨!!」
「なんだ騒々しい、貴様が鬼だったらその首何度無くなっているのか分かっているのか」

で。何の用だ。そう無惨が問うと男はニンマリと笑いながら人間の全体のカロリーって八万一五○○カロリーらしいぜ!と言ってのけた。だからなんだ。

「あっお前無惨お前今どうでもいいって顔したな?違うんだな!これが!!!」
「くだらぬ戯言を言えば貴様の首で蹴鞠をしてやる」
「えっお前、平安時代外でたことあんの?」

カチン。売り言葉に買い言葉。この男は何時も何時も何時も一言、いや三言ぐらい多いのだ。
これには思わず無惨はニッコリ。その笑みに男もニッコリと笑顔を返す。スマイルは金では買えぬ、平和で笑顔は買えるのだ。愛は世界を救う、さすがだね。やったね、たえちゃん!平和が増えるよ!男はぼんやりとそのようなことを考えながら、無惨が向けてきた手に向かって平を合わせようとした。が、男の手は空を切り、無惨の手は男の頭を掴んでいた。

「いだだだだだ」
「撤回してやれば許してやらんことも無い」
「ヤダツンデレんんんん痛い痛い痛い無惨待ってぼくしんじゃう僕勇者じゃないから死ぬしかない」
「ならばよかった疾く失せろ」

なにもよくない!と、余程頭を握られたのが痛かったのか男は無惨に謝る。初めからそうすれば良いのだ。謝るぐらいなら鬼殺隊も巡査もいらない。

「それで」
「あっそう、人間でカロリーを得てるなら代替品を探したんだよ」

見ろよコレ!と渡されたのは衣に包まれたバターである。バターをこんなふうに使うだなんてなんて罰当たりな!まだ人間を食ってた方がマシである。
鬼も胸焼けするというのに。

「私に人権はないのか」
「えっだって無惨鬼じゃん」

まぁそうなのだが。と言った無惨に男は揚げたバターを無惨に食わせる。不味いし、熱い。もってりする。不味すぎて思わず噎せた。

「お前も食え、いや食わねばならぬ」
「俺鬼じゃねぇんだけど!?」

やいのやいのうるさい男に無惨は自身の矜恃を賭けて、残ったバターを男の顔面にぶつけてやった。熱さでのたうち回る男に無惨は、ざまぁみさらせ、と笑顔を向ける。やはり笑顔は世界を救うのだった。
おわれ。

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