俺が猫? 俺の名前は音無樹々。人間である。 高校ではなく病院に通っている(というか住んでいる)ごく普通の健全な男子高校生だ。 ちなみに恋人は我が身(心臓)を蝕むお茶目な病気さん! 明るく言ってみたけど病気は治る見込がない。不治の病ってやつ? 唯一の救いなのが感染らないというところだろうか。結核だったら隔離されちゃうだろう? そんな必要がないのさ、我が恋人は。独占欲の強い恋人じゃなくて良かったよ。 俺は確かに人間なんだけど……。 目を開けるとよく知っている少女の腕の中だった。 え? ……は? 理子?? っていうか俺はどうなったんだ? 病院を抜け出して自転車でコンビニに向かっていたら綺麗な桜色の猫がいて、見取れていたら急に心臓が苦しくなって、全くもう病気さんは嫉妬深いんだから☆ ちょっと『綺麗だなぁ』って思っただけじゃないか。 そして何故か俺はその桜色の猫になって理子に抱えられている。ちなみに理子とは俺の想い人で紫色のふわふわした長い髪を後ろで一つにまとめている自称17歳の美少女である。 そんな理子の黄土色の瞳には桜色の猫つまり俺が映っていた。 「起きたのか?」 困った! 返事したいけど鳴き方がわかんねぇ!! 「お前、変わった毛色じゃのぅ……」 可愛い、理子マジ可愛い。 この状況って俺幸せすぎじゃね? いつも久遠のせいで二人きりになんてなれなかったから猫で良かった、神様ありがとう! っていうか何処に向かってるんだ? まさか久遠のところとか……ないよな? |