百花繚乱 | ナノ

     料理しましょう!

※年齢差行方不明←
※何故か学園パロディ
※樹々と胡夜が無病息災。久遠が無能。


「久遠さん!料理に必要なモノって何だと思いますか?」

 本日の授業を全て終えて後は帰るだけと席を立った森山久遠の前に立ちはだかったのは二つ歳下の可愛い後輩、メイファだった。サイドの高い位置で一つにまとめた長い茶髪に翡翠の瞳の少女は期待を込めて久遠を見上げていた。久遠はいつも通りの笑顔を張り付けて「なにそれ?」と返した。
 今日の家庭科の授業は調理実習だった。メイファはどうしても美味しく作れなかったことを授業が終わった後も悩んでいたら同じクラスの永久に彼の兄が料理上手だと聞き、放課後に久遠の教室までやってきたのである。

「へぇー」

 メイファから事情を聞いた久遠は未だに答えを期待しているメイファに目線を合わせると悪戯っ子の笑みを浮かべた。

「美味しく作りたいのは彼のため?」
「へ? 彼って?」

 メイファの疑問に久遠が答える前に教室のドアが勢いよく開かれた。走ってきたのか肩で息をする金髪銀眼の少年レオンはメイファの元へずんずんと歩を進めた。久遠を睨みながら。

「先輩らの教室で何やってんだよ!」
「久遠さんに聞きたいことがあったの! 何怒ってんの?」
「怒ってねぇよ!」
「姫君、坊ちゃん、」
「誰が坊ちゃんだ! 黒猫野郎!」
「受験生の教室で騒ぐのは迷惑ってわかるよね?」

 背が低いくせに声が大きいレオンは本人に騒ぐ気がなくても煩いのだ。しかもこの二人はお互いしか見えていないので周りの視線に全く気が付かない。久遠に言われて気付いた二人はパッと黙り込んだ。

「失礼しまーす……あ、レオン! メイファ! ……と兄さん?」
「永久!?」
「永久くん!」
「どーも、弟」

 開け放されたドアから顔を覗かせたのは久遠の弟でありメイファとレオンの友人、暁永久だった。赤みがかった黒髪に特徴的なアホ毛を揺らしながら3人の元にやってくる。

「レオン、部活は?」

 グラウンドからカキーンという音と歓声が聞こえて久遠は無意識のうちに窓の外へ目を向けていた。
 今日は野球がグラウンドで行われていた。週明け初日はサッカー部と野球部で試合が開催されるのだ。今週(火曜)の調理部の差し入れを賭けて。先週はバスケが行われ久遠は野球部の助っ人として参加した。
 ホームランを打った野球部の4番バッターが太陽みたいに明るい笑顔を振り撒いているのを久遠はぼんやりと眺めていた。

「久遠さん?」
「んー?」

 4番バッターがホームに帰り、マネージャーに抱き着いたのを見て思わず声を漏らしそうになるがそれより早く調理部のいる家庭科室から副部長の罵声が飛ぶ。両手を顔の前で合わせて謝罪のポーズをしていたが顔は笑ったままの4番バッターがふとこちらの方に顔を上げた。久遠は笑顔を浮かべて手を振ってやると向こうは両手で大きく振り返してきた。マネージャーも久遠に気付いて小さくだが手を振る。

「樹々先輩と、美少女?」
「胡夜。黒月胡夜ちゃん」
「あの黒月先輩!? マネジなんだー」

 いつの間にか一緒に窓の外を眺めていたメイファの周りにレオンと永久がいなくなっていた。久遠が外を眺めている間に部活にでも向かったのだろう。確かレオンは生物部で永久は射的部だ。

「で、姫君は料理上手になりたいんだって?」
「うん!」
「じゃあ調理部で修行しておいで」

 早く帰りたかった久遠は追い払うつもりで言ったのだが「久遠さんも一緒に行きましょう!」と言われ、半ば強引にメイファに連れられ調理部のいる家庭科室へ向かった。
 調理部は部長がバスケ部のエースであり学園一の美男子と有名な藤田夏生で、副部長が学園一の美少女と謳われる黒月胡夜の双子の妹である暁麻昼なので何故か美形しか入部出来ないと思われている部活である。それでも廃部にならない程度に部員はいる。活動は火〜金曜の週4日で、本日は月曜なので休みである。ちなみに作った料理は運動部に食べてもらっている。
 家庭科室のドアをノックもなしに遠慮なく開けると副部長と目が合った。

「よぉ、元気?」
「森山久遠……お前さっき胡夜に手ぇ振られてたな……」

 彼女は重度のシスコンである。暗赤色の髪が一つに結い上げられているためよく見える顔は胡夜にそっくりだった。違いといえば髪と瞳の色ぐらいだろう。

「それより、この子に料理教えてやってくんね?」

 後ろにいたメイファを引っ張り出し麻昼に見せる。琥珀色の双眸が興味深そうに細められた。翡翠の瞳は期待の眼差しを向けている。

「お嬢ちゃん、私より森山の方が料理は上手よ」
「嘘教えるとは酷いねぇ」
「あら、嘘かどうかなんてわからないじゃない。
 あんた一人暮らしで自炊してるし私より経験豊富でしょ?」
「調理部副部長が帰宅部生徒に負けてんの?」

 久遠と麻昼はお互い笑顔で会話しているが穏やかな雰囲気ではなかった。険悪な二人に挟まれていたメイファは名案だといわんばかりに「二人で教えてください」と言った。


・‥…‥・‥…‥・‥…‥・
☆調理部の料理を賭けた試合☆
月:野球部VSサッカー部
火:バスケットボール部VSバレーボール部
水:陸上部VS水泳部
木:剣道部VS弓道部
その他の運動部は欲しければ混ざれ的な感じです←
ギャラリーが多いのは火曜日です
だって藤田が見れるんだもん
彼女いるけどなー
んなこたぁどーだっていいんだよ!

没理由:いつ料理するんですか?

    
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