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きらきらと揺れる蒼。気怠げな太陽に当てられて、突き抜けるような空と同じ色は、一層深みを増した。さらりと風に撫でられ、光の加減が変わる度に変わる、碧とも藍とも言える孔雀の羽根のようなそれは、主のように気ままに、ゆらめいた。






「昔は、嫌いだったの」

足首まで届く長い髪を右手で遊びながら、ぽつり、彼女は言う。軽くウェーブがかかったそれは、右腕を撫でるようにするりと落ちた。

「みんなと違うのが嫌で仕方ななくて。他の人は綺麗な翡翠の色なのに、なんでアタシだけ、って」

翡翠に交じる、異形な青。遠い昔の過去を思い浮かべ、自嘲するように彼女は微笑った。その姿をオニキスの瞳に映しながら、青年は、穏やかに、しかしはっきりと言う。

「どうやって、受け入れたんだ」

並大抵ではないトラウマを、克服しようのないものを、どうやって。全ては言わない青年の、黒曜の瞳はそう語っていた。
黙って独り言を聞いていた事と、聞き返された事の二つに驚きながら、彼女は、しかし何時もの妖艶な笑みを浮かべ、甘い吐息に言葉を乗せる。

「…どこかの女タラシが、好きだって。アタシの蒼の髪が、綺麗だって言ったの」

海の色みたいだと、彼はそう言っただろうか。朝の日差しに注され、キラキラと輝く水面のようだ、と。何とも臭い台詞だと、今だから言えるのかもしれない。






尻切れ(^O^)


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