短編(APH) | ナノ



女の子って辛い。いつもはそう思わないのに今日、いや今週だけはそう思う。
いつもなら、少女漫画だって少年漫画だって読めちゃうし重いものだって運ばなくていいし、電車だって専用車両に乗れちゃうから女の子に生まれてラッキー、なんだけどなぁ。

キリキリ。
きゅうきゅう。

「う……」

体の真中から少し下のあたり。女の子たる所以のそこが、酷く、痛む。

仕方のないことだって分かってる。女の子から女の人になる証明だって分かってる。けどさ、なんで痛いんだろ。痛みなんて必要ないよ、ばか。

「大丈夫か?」

隣りに座るいとしい彼が優しい声で優しい言葉をかけてくれる。

「だいじょうぶ……じゃ、ない、かも」

少し固そうな彼のふとももに倒れこんだ。

「な、何を」

「じゅうでん……」

「充電って……お前は機械か」

はぁ、という重そうなため息が上からふってくる。それから小さな唸り声と、温かくて大きな手が頭にかぶさるのが分かった。

ゆっくり、ゆっくりと私の頭を撫でる。恐る恐るという感じなのが丸分かりで可笑しくて笑ったらまた子宮がきゅうと締め上げられて泣きそうになった。

「ねぇ、るーと……」

「なんだ」

「腰が痛い」

「……それは、大変だな」

「ねぇるーとー」

「なんだ」

「腰が、ものすごく、痛いです」

「……お前は……」

頭を撫でていた手が腰に移動した。
痛みが和らいだ気がした。

これだから女の子ってやめられない。


レディ、お手をどうぞ








(う、わ。なんか手つき、えろい)
(……やめるぞ)
(わーごめんごめん)