「そんな我儘、通らないって」
「我は領主だ。通らぬことなど何もない」
「いやしかしこれはどうにもならないことだよ、元就」
「どうにでもなる。我に不可能はない」
「ナポレオンか貴方は」
「誰だなぽれおんとは。もしや男か貴様我という男がありながら破廉恥な」
「甲斐の若虎みたいなこと言わないでおくれ」
この男との会話は疲れる。
私は溜め息を吐いた。即座に「幸せが逃げるぞまぁ我は逃げぬがな」という言葉が飛んで来る。
今はただの毛利元就だが一時期サンデー毛利になって以降、この男は何処かおかしい。オクラ武装でも充分おかしいのに上乗せされてとんでもないことになっている。
「何度でも言う。我と夫婦になろうぞ」
この通りだ。毎日こうなのだから正直参る。匙に診せても頭を叩いても治らない。いっそ加持祈祷に頼ろうかと思ったが流石に毛利の名が汚れる気がした。
「何度でも返そう。無理だ」
「何故だ。そなたはいつも理由を言わぬ」
「だって、身分があるだろう。あまりにも不釣り合いだ、私では」
「そんなもの関係ない」
「関係あるってこのご時世」
「いらぬものはいらぬのだ」
「段々退化してないか頭が」
「ふん今は照れ隠しと取っておいてやろう」
「ちょっと誰か! 匙を!」
あと3分で世界は変わる
(頷きそうな私を止めて!)
2008/01/13