「小太郎、そっちの書類取ってくれ」
「……」
「ありがとう。助かる」
「……」
「しかし小太郎はすごいな。忍術だけでなく事務能力もあるとは。伝説は伊達じゃないな」
「…………」
「ははは。そう照れるな。
……これは伊達からか。伊達、といえば確か奥州の竜から見合い話が来ていたな」
「………」
「ああ、それだ。すまんがそれも取ってくれ……って小太郎!? 何を破いているんだ!? 大事な書類だろうが!」
「……」
「ん? 『見合いなんて必要ない。いずれ奥州も北条のもの』……。
小太郎大丈夫か? じいさんの影響を受けてる気がするんだが」
「………!」
「ああ、こらそれも見合い状だろうが! 甲斐からの! ああもう破るんじゃない!!」
「…………」
「そっぽを向くな。拗ねてるのか?
あのな、小太郎。どうでもいい書類でも破っちゃだめだろう?」
「………」
「ん。分かったならよろしい。
じゃあそこの四国からの果たし状を……って破いてんじゃねぇよ馬鹿ぁぁああああ!」
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