短編(武田/過去) | ナノ

愛している。

言葉に情を孕ませ腕を伸ばし柔らかな肌に触れる。やわい肌は一度は指を弾くがすぐに手のひらに馴染んだ。


「愛してる、愛してるよ」
「私もよ」
「愛してる。ああ、君を愛してるんだ」


壊れた絡繰りのように繰り返す睦言に重みはない。
あるのは色。薄汚れた言葉に色を重ねては眩ませる。ずるがしこい、言葉。


「私には貴方だけよ」
「俺もだ」


茶番劇は続く。


イミテイション・ラブ


紛いものならいらぬよと投げ捨てておくれ





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