短編(武田/過去) | ナノ



ねぇ、指切りをしたの。幸せそうに笑った幼い姫は、柔らかそうな頬をほんのり赤く染めていた。一体何を約束したんですかい。俺は只それを見て曖昧に笑っていたのだが、次に彼女が言った言葉に頭が破裂するかと思った。あにさまが、大きくなったら私とけっこんしてくださるって。何を、何を考えているのだあの主は。冗談なら良いのだが冗談に聞こえないのが我が主。ずくずくと痛んできた頭を押さえていると彼女は慌てて俺の頭にまるで紅葉のように小さく愛らしい手のひらを当てた。いたいの、いたいのとんでけ、ねぇ佐助。大丈夫? えぇもちろん。姫さんのお陰で良くなりました。良かったね。春先に蕾が綻ぶような笑みにまた曖昧に笑い返す。今日の御八つは彼女の分だけ用意しておこう。


約束の小指




(幼女趣味だったんですかい)

(五月蠅い、お前もだろう)






2009-03-31




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