短編(その他/過去) | ナノ
他人いわく彼は殺人鬼で、この世の中で最も罪深い存在らしいのだが、白い少年に言わせると僕らもまた罪深くあるのですよとまだ15のくせに非常に穿った答えが返ってきた。殺人鬼と悪魔払い。その2つを兼ね備えてしまったかの男はそれではどのくらい罪深いのでしょう神様。私には到底分からないから祈りの真似事をして透明な存在に答えを求めてみた。それが男には非常に不服らしく鼻を鳴らしてゆらゆらと狂った神を揺さぶった。これは彼の僅かな癖のひとつ。

「聖職者みてぇなことをすんな、俺の前で」
「何分聖職者ですもんで」
「馬鹿言え、聖職者の皮を被った殺人鬼のくせに」
「それは貴方です」

この世で最も罪深くあらせられるお方は祈りというものがどうやらお嫌いらしい。バチカンなんていうモノに組み込まれているくせに。多分それを尋ねたら戦場に飢えているんだとあのいつもの背筋を凍らせるような笑みを浮かべて答えるのだろう。

「何も返って来ねぇぜ」

男は、らしくない声で呟いた。
彼が誰よりも恐ろしく在るのは強靱で在るのは、誰の支えも信じていないからなのだろうか。それはまるで、と愚かな憶測をしようとした頭は突然の石より固い拳骨によって阻まれた。




神様の子どもたち

(まるで、信じていたような口振りじゃないか)




2009:06:11








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