君は遠い人 | ナノ



一体何を言っているのだこの人は!

壁外遠征というと、乗馬して立体機動を身につけて、必要であるなら巨人と戦うというあのことだろう。
つまり、先程のリヴァイ班と同じものに参加しろということか。

「いやいやいや、無理ですよ私戦えませんし」
「君は巨人に襲われないのだろう?」
「いや、まあそうですけど野生の動物には襲われますよ!?」

皆が立体機動で移動するなか、有事の際はおそらく私は置いてけぼりだろう。立体機動も使えず、乗馬もできない私の前に野生の狼とか出てみろ。
巨人も怖いがそういった野生動物も怖い。

「巨人に襲われないというだけで、壁外遠征のお役に立てるとは、思えないんですけど……」
「いや、そうでもない。自由に行動できる君の存在が必要な時もある。それに立体機動は今後覚えればいい」
「……」

どうやら何を言っても決定事項らしい。さすがエルヴィン団長。団長らしくなかなか強引である。
そして、私に拒否権はない。

「がんばり、ます……」

肺から絞り出したような声に、エルヴィン団長は真面目な表情で頷いた。

「調査員の仕事は、あとで紹介するが分隊長のハンジ・ゾエに聞いてくれ」
「……うぅ、はい」
「……君はあれのことも知っているのだろうか」
「……人となりと、嗜好は多少……」
「なら話は早い。まあ、その……なんだ。あれにも君の事情は伝えておく」

頑張ってくれ、と言われてしまったが本当に私は頑張れるのだろうか。あの熱烈な知的好奇心の餌食となる未来を予想してうっそりとした気分になった。
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