境征参加 | ナノ



(何か……見直しちゃったなぁ)


名前は包帯が巻かれた自分の指を見つめた。規則正しく綺麗に巻かれている。

見た目は不器用そうなのに、と失礼なことを思っていたことを心の中で詫びておくことにする。


(……ナチュラルに破廉恥だったけど)


いつも破廉恥破廉恥と煩い彼の行動を思い返して全身がかゆくなってきた。何だか頬が熱いような気もするが気にしないことにしておく。


(他意はない他意はない他意はない)


ぶんぶんと頭を振った名前は、ふと指先に結ばれた蝶々を見て、小さく微笑んだ。

だが、段々と治まっていた痛みがぶり返してきた。少しきつめに巻かれている包帯の中で、指がじんじんと鈍い痛みを伝えていた。

だがせっかく綺麗に結んでもらったのに解くのが忍びない。それでも痛みは我慢出来ないほどに加速していく。


「幸村……ごめん!」


届きもしない謝罪を呟き、解いた。
はらりと解かれた感触にホッと一息ついてまた一から巻きなおそうとしたのだが、片手ではどうも上手くいかない。

縁側で一人もだもだとしていたら、突然背中へ声を掛けられた。


「名前ちゃん、何してんの?」

「さ、佐助か」


声を掛けたのは、派手な髪色をした迷彩服の忍者、猿飛佐助であった。不思議そうな顔で彼女を見下ろしている。

佐助は忍なので足音を立てるということはあまりない。そのため名前は一瞬びっくりしてしまったが、佐助と知ってホッとしたような顔をした。



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