境征参加 | ナノ


戦国時代にはパソコンやケータイはもちろん、テレビなんかの電子機器は全く存在しない。

イコール。
暇、である。


「あーひまだー」


青葉城のとある一室にて。

武田からの客人である名前は畳の上で大の字になりながら、天井を見上げて唸っていた。

天井にソケットがないことに違和感を持たなくなってきている。


「ひまだーとけるー」


座布団を二つ折りにして枕代わりにして横になっている名前は、暇だ暇だと連呼しながらごろごろと畳の上を左右に転がった。

武田と同じく客人扱いといえど、することはあちらより限られている。

名前は出来そうな範囲で暇の潰し方を考えてみた。

しかしどれもこれもパッとしない。


(着々とニート化してんな、私)


そう考えると少し笑えた。

ふと、彼女は窓の方へ目を向けた。

今は昼なので日差しよけに障子が閉められている。障子から日の光が透けて見えた。

外は晴れているらしい。


「外かぁ……いいな」


こんな良い天気は、散歩するに限る、かもしれない。

名前は意を決して立ち上がると、襖を開けた。



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