境征参加 | ナノ



薄暗い視界。肌に触れる布がむず痒い。

名前は嫌そうに顔を歪めた。


「……これが策なの? 何か、ふざけているとしか思えないんだけど」

「大人になっても遊び心って大切じゃない?」

「やっぱ遊んでたのか!?」


名前に胸倉を掴まれた佐助はいつもの笑顔で笑った。何処か引きつっているのは何故だろう。


「うっそうそ。冗談だってぇ」

「ううぅ……清ちゃーん……」


近くにいた清に泣き付いた名前を彼女は慰めようと声をかける。


「だ、大丈夫です名前様。よくお似合いです!」

「いやこの場合お似合いとか言われても全然嬉しくないんだけど」


名前は今、女物の着物から強い青の羽織に紺の袴へと着替えた。いつもの服装である。

そして、そこにオプションがついた。


「うー。絶対変だよ、変態だって思われるよ……」

「ほら、もう客間まで近いんだから、しゃんとして」

「……佐助、これ終ったら一発殴らせて。頼むから」

「暴力はんたーい」

「このド派手忍者め……!」


そうこうしている内に、一行は客間の前まで来た。
名前の心臓は嫌な音を立てている。冷や汗が背を流れた。


「失礼致します」


清がそう言って襖を開けた。

中にいた全員の視線が、自分に集まるのをひしひしと感じる。


「……失礼、します」


そういって彼女は軽く会釈をした。




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