境征参加 | ナノ
その後、やっとの思いで土を耕し終えた名前は、次なるミッション(種蒔き)に若干心が折れそうになったが、何とかそれを耐えてようやく全ての仕事を終えた。
「終ったぁ……」
達成感がありすぎて、一瞬泣きそうになってしまったのは秘密だ。
「おう、よく頑張ったな」
彼女の横には小十郎が立っていて、畑を一緒に眺めていた。
もう時刻は夕方に差しかかりそうだった。きっと小十郎一人なら昼までには終ったはずだろう。
「……何か、手伝ったという感じがしませんね」
「何でだ」
「すごい迷惑かけましたし」
「気ィ遣うんじゃねぇよ」
名前の不安を吹き飛ばすようにカカカと笑った後、小十郎はまた名前の頭に手を置いた。
わしわしと力任せに撫でられているので若干ふらふらする。
「お前は頑張った、それは認めとけ」
「はぁ……」
それでもまだ納得していない顔の名前の背中をポンと押した。
「ほら、今日の晩飯で食いたい野菜選んで来い」
「え、良いんですか?」
「手伝ってくれたせめてもの礼だ」
しかも特別に俺が作ってやるよ。
その言葉に彼女は目を見開いて驚き、少ししてからにっこりと嬉しそうに笑った。
(……これ明日絶対筋肉痛だ)
「今日は早く休めよ」
(片倉さん、さすが……!)
「明日も手伝ってくれるんだろ?」
「……あ、あは」
(やはり片倉さんは片倉さんだな……)
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