おまけ
「政宗様」
「……」
「この小十郎に黙って、朝市で買い物ですか」
「……」
「しかも名前まで連れ出して」
「……」
「貴方様はご当主という立場を弁えておられますのか」
「……」
昼前に城に戻った二人だったが、門の前で仁王立ちをしながら怒気を発している小十郎にあえなく捕獲された。
どうやら、政宗は彼に何も言わずに出かけたらしい。
現在彼らは政宗の自室で小十郎に正座をさせられながらお説教をされている最中だ。
(伊達さん、何で私も正座させられてんですか)
(馬鹿野郎、お前も共犯者だろ)
(伊達さんが勝手に連れ出しただけでしょー!)
「ほう……説教中にひそひそ話たぁ良い度胸だ」
「「!!」」
こめかみに青筋を立てながらゆらりと立ち上がった小十郎の背後に、般若が見えたような、気がした。
(あ……これ死ぬ)
その日彼女は、小十郎の極殺モードを初めて目にしてその後しばらく焼き付いて離れなかったという。
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