境征参加 | ナノ




「俺は政宗様を狙う」

「じゃあ俺様は真田の旦那ね」

(狙うて、……もう)


何処となく不穏な会話を繰り広げる小十郎と佐助に疲れてしまった名前は、階段に腰かけたまま彼らの動きをぼうっと見物していた。

そして、ようやく作戦が決行された。

流石に息が上がってきたのか、にらみ合いながら休憩を取る二人に襲い掛かる土の山。


「うぉぉお!? 何だこガボッ!」

「What!? なんだこグフ!」

「ごめんね旦那ー。許してー」

「申し訳ありません政宗様……」


小十郎と佐助はそれぞれ剣と手裏剣を構えて、力をこめて主へと土の山を吹き飛ばした。

小十郎の身長よりあるその土の山に埋もれたらしい二人は、山を崩そうとしてもぞもぞと動いていたのだが、先に部下たちが取り押さえに来た。


「政宗様、ご容態は?」

「旦那ー、大丈夫ー? 土食べてないー?」


そして作戦その2。「しらをきる」


「プハッ! 佐助、この土の山は一体……!?」

「俺様分かんないや。ずっと名前ちゃんのこと守ってたしー」

「む……でかしたぞ佐助!」


「ゲホッゲホ! こ、小十郎、一体何が……」

「申し訳ございません政宗様。今先程かなり局地的な土砂崩れが発生いたしまして」

「Really!? ……それにしちゃ随分局地的だが……ハッ!?」

「政宗様?」

「ま、まさか、俺らが暴れ過ぎたから山の神が怒って……!?」

「政宗様……」


ご覧の通りである。

まあ部下が主を土で埋めるなんて無礼もいいところなので、とりあえず二人は黙っておくことにした。
邪魔したことを咎められたくはない。

作戦を実行する前に、佐助は名前に、小十郎は連れてきていた部下たちにあの極殺スマイルで他言するなと言って回っていた。


(……怖いよ、この二人組)


ある意味最強タッグだと一人ごちていると、それぞれ部下が主を肩に担いでこちらに向かってきている。

政宗はまだマシだが、幸村はもうドロドロだ。何せ水分を含んだ土を頭から被ったのだ。

佐助は加害者のくせに嫌そうな顔で幸村に肩を貸している。


(……ま、騒ぎが収まったんなら、これで良いのかも、ね)


ようやく城の中へとはいれた一行だった。
政宗と幸村は問答無用で風呂場行きとなった。



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